日本の代表的な舞台芸術プラットフォーム「横浜国際舞台芸術ミーティング2022(YPAM 2022)」が3日に開幕。台湾の「ブラレヤン・ダンスカンパニー(BULAREYAUNG DANCE COMPANY)」(布拉瑞揚舞団)は初日夜に『LUNA』を上演、日本の観客のほか、日本で暮らす台湾の人たち、そして各国から「YPAM 2022」に参加する関係者を引き付け、満場の喝采を浴びた。「YPAM」の代表的なコーナーで台湾のグループが公演するのは初めて。
「ブラレヤン・ダンスカンパニー」は先ごろ国家文芸奨(賞)を受けた国際的に著名な振付師、布拉瑞揚・帕格勒法氏が設立した舞踊集団。近年は各国で巡回公演し、広く注目を集めると共に高く評価されている。今回の公演は台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと国家文化芸術基金会が協力して実現したもので、同センターと基金会は今後も「YPAM」と三者でプラットフォームを築き、台湾の優れたパフォーマンスアートを世界の舞台へ送り込んでいくとしている。
謝長廷駐日代表、国家文化芸術基金会の林曼麗董事長(=理事長)、台湾文化センターの王淑芳主任は開幕前日の2日、会場となった神奈川芸術劇場(KAAT)に陣中見舞いに訪れ、リハーサル中のダンサーたちを激励した。謝駐日代表はダンサーたちの表現する「報戦功」の部分について、その合唱は「まさに天からの声だ」と絶賛、「ブラレヤン・ダンスカンパニー」は動作を言語にして創作の想像力を完全な形で表現しており、言葉を超越した感動と衝撃を与えると評価した。
同ダンスカンパニーで芸術総監督を務める布拉瑞揚・帕格勒法氏は公演が始まる前に日本の観客に向けて『LUNA』を日本で披露することの特別な意義を説明した。布拉瑞揚・帕格勒法氏は、「『ブラレヤン・ダンスカンパニー』は初めて日本にやって来た。我々は『LUNA』という作品をお見せするだけでなく、ブヌン族(台湾の先住民族の一つ)の歌をより多くの人たちに紹介したい。それは羅娜部落(=集落)の長老たちが我々に託した願いだ。ブヌン族の狩人が獲物をいっぱい持ち帰り、狩りの成果を報告するのが『報戦功』だ。それと同じようにこの作品『LUNA』がみなさんを祝福と感動で満たすよう願っている」と語った。『LUNA』は「ブラレヤン・ダンスカンパニー」が台湾中部・南投県の羅娜部落でブヌン族の人たちと生活を共にして学んだ先住民族文化と舞台芸術を融合して生み出した作品だという。
公演には台北駐日経済文化代表処の李世丙副代表と同代表処横浜分処の張淑玲処長がかけつけたほか、日本芸術文化振興会の河村潤子理事長、神奈川芸術劇場の真野純館長ら日本の文化芸術界の重要な人物が一堂に会した。李副代表は公演後のパーティーでスピーチ、台湾では近年、多元的な文化政策を積極的に推進して様々なエスニックグループの共栄と芸術の平等を実現していると説明。今回の『LUNA』も先住民族文化を舞台芸術と結びつけた作品であり、日本の各界の人々にも台湾文化の創造性と生命力を十分に感じてもらえるだろうと述べた。
国家文化芸術基金会の林曼麗董事長は公演後のレセプションで、「YPAM」は同基金会のプラットフォーム「ARTWAVE:台湾国際芸術ネットワーク」における長年の提携パートナーだと指摘し、今回の公演が台日及び世界の舞台芸術の専門家との交流のさらなる深化につながるよう期待した。「YPAM」はこのところアジアの舞台芸術にとって最も重要な国際的プラットフォームの一つになっており、実験的でイノベーティブな公演と深い交流ネットワークの整備を目標にしている。開催期間中には毎年、一連の作品の上演、講座、ワークショップなどを行い、各国の芸術家に日本の観客獲得と国際的な巡回公演の機会を提供しており、高い評判と話題性を集めている。