2025/04/29

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文化・社会

国家人権博物館で「世界人権デー」式典、移行期正義推進への決意示す

2022/12/12
文化部国家人権博物館は「世界人権デー」の10日、国家人権博物館白色テロ景美紀念園区(台湾北部・新北市新店区)で2022年「世界人権デー式典」を開催した。蔡英文総統は、今後も行政院が各省庁を取りまとめながら移行期正義に関する作業を継続していくことを約束した。(総統府)
文化部国家人権博物館は「世界人権デー」の10日、国家人権博物館白色テロ景美紀念園区(台湾北部・新北市新店区)で2022年「世界人権デー式典」を開催した。蔡英文総統、総統府資政の姚嘉文氏、文化部の李永得部長(=文化相)、李静慧政務次長(=副大臣)、国家人権委員会副主任委員の王栄璋氏、国家人権博物館の洪世芳館長、台北二・二八紀念館の蕭明治館長、それに張常美さんをはじめとする白色テロ被害者及びその家族約200人が招きを受けて出席した。
 
式典では李永得部長から、関連の文物を寄贈した総統府資政の姚嘉文氏、白色テロ被害者の呉水燈さん、高金郎さん、被害者家族の黄鈴蘭さん、黄春蘭さん、欧陽煇美さん、米国出身の人権活動家リンダ・アリーゴ(艾琳達)さんに対して感謝状が授与された。
 
蔡英文総統は、「こんにち台湾が享受している民主主義と自由は、これまで台湾の人々が一代また一代と、自らの命と自由を犠牲にし、台湾の民主化を進めてきた結果得られたものだ。移行期正義を推進する意義も、まさに歴史を記憶し、過去を反省し、我々が二度と同じ轍を踏まないようにするためだ。そして、社会を一層団結させ、民主主義を強固なものとし、台湾を絶えず進歩させるためでもある。これは責任ある政府が、移行期正義と向き合うにあたり達成しなければならない任務だ」と述べ、これからも行政院が各省庁を取りまとめながら移行期正義に関する作業を継続していくことを約束した。
 
文化部の李永得部長も、今年5月に促進転型正義委員会(移行期正義促進委員会)が段階的な任務を終えたことに言及。しかし、移行期正義の推進を重視する蔡英文総統、行政院の蘇貞昌院長(=首相)によって、移行期正義に関する業務は行政院(内閣)の取りまとめの下、複数の省庁によって引き継がれているとし、そのうち文化部の重要な業務は、人権教育の推進、「不義遺址」(権威主義体制の下、台湾の白色テロ時代に人民の権利に対する侵害が行われた場所を、人権の歴史を記念する遺構とするもの)の審査及び指定とその後のメンテナンス、口述歴史の記録などだと説明した。
 
李永得部長はその具体的な成果として、白色テロ被害者の一人、蔡焜霖さんの物語をまとめた漫画『来自清水的孩子(邦題:台湾の少年)』、女性政治犯として緑島に収監された張常美さんをモデルとした映画『流麻溝十五号』、白色テロを取り上げてヴェネチア国際映画祭XR部門「Venice Immersive」で最高賞「最優秀体験賞」を受賞した台湾のVR作品『無法離開的人(THE MAN WHO COULDN’T LEAVE)』、このほど「金典奨」の「年度大奨」を受賞したばかりの頼香吟さんの短編小説集『白色画像』などを挙げ、これらはいずれも先人たちの生命の物語を漫画、文字、映像など多様な方法で表現し、国民の眼前に示すと同時に、世界各国の人々をも感動させる素晴らしい作品だと述べた。
 
李永得部長は、今後は、「不義遺址」の審査・指定や口述歴史の記録についても関連の調査、研究、普及などの業務を迅速に進め、先人たちの血と涙の歴史を完全な形で保存し、後世に継承していくことを約束した。
 
 

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