国立台湾文学館(台湾南部・台南市)が24日から「先住民族文学展」を開催、人々が台湾文学史の源流である先住民族の文学を共に振り返るよう期待している。同展示会は同文学館が収蔵する文物を中心に、先住民の文学を伝えてきたツールを紹介。紀元前の言い伝えの時代の「ツール」は神話や伝説、祭儀、歌謡など様々で、先住民族の言語の特徴が示されている。そして各民族がいかにして自然の挑戦と社会の変遷に向き合ってきたかを伝えている。
先住民族はその後、日本語や中国語など、外来の文字系統を使って台湾の社会にその独特な文化を伝え始め、同時に民族の図案を記録し、描写することで次世代の先住民族にアイデンティティをたどるための「ヒント」を残すようになった。先住民族出身の作家たちの豊かで優れた作品は国内の文学界で異彩を放っているほか、海外の出版社の関心も集め、外国語に翻訳され続けている。
今回の文学展では日本統治時代の作曲家、陸森宝の伝記や同じく作曲家の高一生が妻・春芳に宛てた書簡、現代の作家、卜袞・斯瑪哈単・伊斯立端氏による先住民族語の日記、火災からわずかに残り、パイワン族の鮮明な画風を伝える亜栄隆・撒可努氏によるノート、巴代氏の小説『斯卡羅人』の下書き原稿原本などが展示される。また、孫大川氏が文化建設委員会(現・文化部)のために書いたスピーチ原稿は1994年に当時の李登輝総統が「原住民族文化会議」で初めて国家元首として先住民族たちを「原住民」と呼ぶのに応用された。
会場には、夏曼・藍波安氏が自ら製作したダウ族独特の船、卜袞・伊斯瑪哈単・伊斯立端氏による手製の羽ペン、孫大川氏がベルギーに留学していた時期に使用したパイプと万年筆、伊苞・達徳拉凡氏が中央研究院による「祈祷師の儀式」の調査に参与した際に収蔵した木彫りの杯など、作家たちの日常に寄り添う品物も多く展示されている。文物保護の規範に従い、これらの文物は二段階に分けて展示される。また会場では、先住民族のダンサーたちのパフォーマンスの映像などが放映される。同展示会は12月24日から来年の8月31日まで、国立台湾文学館の2階展示室Eで開かれている。