第42回行政院文化奨(=賞)の授賞式典が5月31日、台湾北部・台北市内で行われた。今年は李淑徳さん、黄俊雄さん、呉静吉さんが受賞者に選ばれた。
行政院文化奨は台湾の政府が主催する最高の国家文化賞で、傑出した文化人の生涯を通じた功績を表彰するもの。授賞式では陳建仁行政院長(=首相)が文化奨章(メダル)と証書、賞金を受賞者(3名のうち2名は代理)に手渡した。以下、受賞者の紹介。
李淑徳
1929年、台湾南部・屏東県生まれ。1957年に米国に留学、1964年にバイオリンの音楽修士号を取得して帰国、その後台湾で教職に就く。人材を育成することの重要性を深く感じており、台湾で弦楽教育に打ち込んで50年が過ぎた。このため「台湾におけるバイオリンの母」、「台湾における弦楽教育の開拓者」、「人材を創り出す人材」などと呼ばれる。1993年に財団法人王桂栄台美文教基金会(TAF)の「人文科学成就奨」(人文科学業績賞)、2015年に教育部(日本の文部科学省に類似)による芸術教育貢献奨の「終身成就奨」(生涯業績賞)、そして2017年には総統から二等景星勲章を受けている。
黄俊雄
1933年、台湾中部・雲林県生まれ。14歳から父・黄海岱について布袋戯(台湾の伝統的な人形劇 ボテヒ)を学ぶ。劇場での布袋戯、布袋戯映画、布袋戯のテレビ放送などそれぞれの時代を通して布袋戯の新たな表現方法と技術を積極的に開発した。2002年に第37回金鐘奨(ゴールデンベル賞)特別賞、2006年に第10回国家文芸奨の「パペットマスター」、2010年に教育部の「本土言語普及傑出貢献奨」を受賞した。2011年に行政院文化建設委員会(現・文化部)による「重要な伝統的舞台芸術・布袋戯保存者」の指定を受け、2015年には総統から二等景星勲章を授けられた。
呉静吉
1939年、台湾北東部・宜蘭県生まれ。教育者、文筆家、舞台芸術家、文化事業管理者。1977年に金士傑らと共に「耕莘実験劇団」(のちに「蘭陵劇坊」に改名)を引き受けると俳優を主とした劇場の概念を切り開き、台湾の劇場の発展に多大な影響を与えた。自身を「取り囲む塀の無い教育従事者」と位置づけ、様々な分野での「創造力」誕生に協力。2020年に第7回教育部芸術教育貢献奨の「終身成就奨」、2021年に文化部の文協奨章を受けている。