台湾を訪問中の国際オンブズマン協会(International Ombudsman Institute, IOI)理事長で、西オーストラリア州のオンブズマンを務めるクリス・フィールド(Chris Field)氏が24日、監察院(台湾における公的オンブズマン組織に相当)を訪れ、基調講演を行った。監察院は、フィールド氏に「一等監察奨章」を授与した。
監察院と西オーストラリア州のオンブズマン組織はいずれもIOI下部の6つの地域の一つである「オーストララシア及び太平洋地域(APOR)」の会員。監察院の陳菊院長は昨年10月、ニュージーランドで開かれたAPORの年次総会に参加した際、フィールド理事長と会見している。。
陳菊院長によると、フィールド理事長はもともと弁護士で、2007年より西オーストラリア州のオンブズマンを務めている。オーストラリアでは最も経歴の長いオンブズマンで、昨年から4期目に入った。今年2月には公共部門でオーストラリア勲章を授与され、オーストラリア国内及び国際オンブズマン業務での長年の取り組みが評価された。フィールド理事長はIOIの組織構造や選挙制度の改革にも力を入れ、国際協力を推進し、その独立性が脅かされている世界各地のオンブズマンを支援してきた。フィールド理事長の貢献を表彰するため、監察院は「獎章審査委員会」の決議を経て、フィールド理事長に「一等監察奨章」を授与することを決めた。
フィールド理事長はこの日、監察院で「現代のオンブズマン制度:グッドガバナンス、法の支配、人権」と題して基調講演を行った、講演後、フィールド理事長は監察院の監察委員や秘書長らと、先住民族の権益、児童青少年の保護、感染症対策に伴う措置と基本的人権との均衡、政府におけるグッドガバナンス(良い統治)の重要な要素、デジタル時代におけるオンブズマンの権利への課題などの議題について議論を交わし、交流を深めた。
フィールド理事長は今回の台湾訪問で、国家人権博物館景美園区を訪れ、台湾の人権擁護と促進の歴史について理解を深めることになっている。また、台湾南部へも足を運び、地方政府の人権促進、グッドガバナンスを推進するための政策などについても理解を深める。高雄・屏東エリアでは客家(ハッカ)や先住民族の文化にも触れる。先住民族の権益や文化の保護はオーストラリア政府が最優先に掲げる政策の一つであることから、この方面で台湾の関係者と踏み込んだ交流や協力が展開できると期待されている。