台湾南部・高雄市の国立科学工芸博物館(科工館)が所蔵する「交差分子線装置」は、6月に中華民国国宝に認定された。これは、台湾で初めて科学技術文化財が国宝に認定されたケース。科工館は29日から特別展「ノーベル化学賞受賞者:李遠哲とその希望」を開催している。科学技術に関する博物館における画期的で重要な成果に対する市民の理解を深める狙いだ。
「文化資産(文化財)保存法」によって文化部(日本の文科省に類似)が認定した300点余りの国宝の大部分は、国立故宮博物院、中央研究院歴史言語研究所、国立歴史博物館、国立台湾史前文化博物館、国立台湾博物館、国家図書館など13機関の所蔵品。科工館が所蔵する「交差分子線装置」は、生活および儀式的な用具のカテゴリーに属し、国宝第373号として登録された台湾初の科学技術文化財による国宝となった。
「交差分子線装置」は、過去数十年に渡ってハーバード大学で適切に保管されていた。2001年、科工館が「ノーベル賞100周年記念展」を開催した際に、当時の中央研究院院長を務めていた李遠哲氏の支援を通じて購入された。交差分子線装置は、科工館4階に設置された常設展示スペース「科学桂冠」に展示され、科学の基礎を伝え、科学の普及に一役買っている。今でもその姿は輝きを失うことなく、老若男女がこの展示の前で足を止め、鑑賞している。内部の構造や設計は現代の科学技術を十分に映し出している。
29日から開催している特別展では、科工館地下一階の円形アトリウム中央に「交差分子線装置」が展示されている。会期は2024年2月末まで。