台湾初の国産気象衛星「猟風者(Triton)」(トリトン)が台湾時間9日午前9時36分、フランスのアリアンスペース社のロケット「VEGA」(ヴェガ)で打ち上げられ、10時31分に予定の低軌道に無事投入された。その後午後8時56分には台湾の地上ステーションとの交信に成功。国家科学及び技術委員会(日本の省レベル)の呉政忠主任委員(=大臣)は、「トリトンから『無事を伝える知らせ』を受けて興奮している。今後の任務が予定通り執行され、全世界の気象学や天気予報に貢献出来るよう願っている」と述べた。
トリトンを搭載したロケット「VEGA」は中南米のフランス領ギアナの宇宙センターから打ち上げられ、6分半後には第3段が離脱。その後第4段のエンジンが姿勢を制御して飛行し、トリトンは午前10時31分にロケットから離れて予定の低軌道に進入した。
トリトンは国家太空中心(TASA、国家宇宙センター)が20社を超える台湾の企業と共に開発製造した人工衛星で、国産比率は82%に達する。ペイロード(搭載物)のGNSS-Rは海面に反射させた信号を通して収集した海面の風速データを分析し、それをTROPS(Taiwan Radio Occultation Process System)を通じて全世界に公開する。風速は現在の気象観測で最も欠けているデータであるため、トリトンの提供する大量のデータは世界の気象学と天気予報に有用な数値を提供することになる。
TASAの衛星コントロールセンターで交信状況を見守っていたTASAの呉宗信主任は、「受信したデータによればトリトンの姿勢や温度、電力などの『健康』状態はみな良好で予定どおりだ」と説明。今後は計画通り、衛星本体の機能テストを順番に行い、全て正常であればミッション機器のGNSS-R(Global Navigation Satellite System-Reflectometry)を起動し、衛星測位システム(グローバルナビゲーションサテライトシステム)の信号を受け取れるようにするとしている。