教育部国民及学前教育署(国民教育及び就学前教育署)は2019学年度より「英語カリキュラムオンライン共同学習計画」を推進している。プロの英語教師によるオンライン授業を通してインターネット上の英語学習プラットフォームと関連のデジタル教材を結び付け、辺境地区の学校の生徒たちに教育部の定める英語カリキュラムを施す。これにより都市部と地方での英語学習に関する格差の改善を図る。2023年学年度には19の小中学校、379名の生徒、14名の教師がこの計画に参加した。
国民及学前教育署によると、この計画に参加した教師の蔡昕璁さんは台湾南東部・台東県の県立海端国民中学(中学校)へのオンライン授業を行うにあたり、「聴覚」、「視覚」、「ゲーム化」を意識して教材を作成。各種の効果音に短い文章や動画を組み合わせて生徒たちの集中力を支えた。また、授業とゲームを結び付けることで生徒たちの興味と交流を促した。さらに決められた授業内容以外に、蔡氏は早朝の自習時間や昼の休憩時間を利用して生徒たちの英検やTOEICのテストにも参加させ、台東県の行う小中学校英語単語コンテストにも参加させて好成績につなげた。
また、同じく計画に参加した教師の黄慧麗さんは、英語を学ぶ目的は「使うこと」であり「暗記すること」ではないと考え、台湾南部の高雄市湖内区三侯国民小学(小学校)へのオンライン授業では英語を学習ならびに生活と結び付けた。授業ではより多くのアクティビティや協力作業を用意、教師自身が話す時間を減らし、生徒たちが勇気をもって英語で話すことを促した。黄さんはまた、同小学校を自ら訪れて生徒たちと実際に交流し、感情的なつながりも築いて生徒たちが英語の授業をより好きになるよう努めた。
台湾中南部・嘉義県番路郷隙頂国民小学にオンライン授業を行った教師、江映雪さんは生徒たちの集中力を高めるためテキストの内容をパワーポイントに転換。教科書には無い図案や動画も加え、インタラクティブな小テストを行って生徒たちの学習成果をリアルタイムで確認した。これにより生徒たちは教科書やデジタル書籍に視線を落としているばかりでなく、教師の講義についていくことが出来たという。江さんもまた実際に小学校を訪れている。その時には教科書以外の物語や節句に合わせた教学内容を用意、実際の道具や身振り手振り、板書やお絵描きなどを使って英語を学ぶことに対する生徒たちの興味を高めたという。
この計画が実施されて4年、国民及学前教育署は「英語授業に対する生徒たちの参与の度合いは高まっている。関連の英語コンテストでも賞を獲るなどしている」と評価。リモート教育の教師と学校に勤務する教師が連携することは辺境地区の学校の教師の能力向上にもつながっているという。国民及学前教育署では今後も優秀な英語教師の専門能力を結集し、インターネットとカメラを通じて教師と生徒間の距離を近づけ、辺境地区の学校の生徒たちが英語を学ぼうとする動機と学習成果を高めたいとしている。