イギリスのエコノミスト誌傘下の研究所、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit, EIU)が15日、2023年度版の民主主義指数(Democracy Index)を発表。台湾は評定対象となった167の国と地域のうち10位でアジアトップだった。いずれも前年と同じ順位。台湾はまた、今回もEIUの定義する「完全な民主主義」入りを果たした。
EIUは毎年、5つの指標を根拠に167の国と地域の民主主義の状態を評定して民主主義指数を発表している。5つの指標は、選挙過程と多元性、政府機能、政治参加、政治文化、市民の自由度(人権擁護)。同指数はまた、民主主義の度合いを、「完全な民主主義(Full democracies)」(8~10ポイント)、「欠陥のある民主主義(Flawed democracies)」(6~7.9ポイント)、「混合政治体制(Hybrid regime)」(4~5.9ポイント)、「独裁政治体制(Authoritarian regime)」(0~3.9ポイント)の4レベルに分類している。
今回、台湾の総合ポイントは10点満点で8.92と、2022年の8.99からわずかに後退。台湾は2021年度版では全体で8位、アジアトップの評価を得たが、そのときの総合ポイントも8.99だった。
2023年度版民主主義指数の上位10か国は上から順にノルウェー、ニュージーランド、アイスランド、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイルランド、スイス、オランダ、台湾。ノルウェーは14年連続でトップを守った。
EIUによれば、世界の民主主義は後退のトレンドにある。EIUは2006年から毎年民主主義指数を発表しているが、2023年度の世界平均は5.23で過去最低だった。後退のトレンドは2016年から続いているほか、新型コロナウイルスの感染が拡大した期間、各地で公民の自由が制限されたこと、ならびに2022年から2023年にかけて戦争や軍事衝突が起きたことが状況を悪化させた。
2023年度の世界民主主義指数によれば、「完全な民主主義」の下で暮らす人は世界全体の8%以下。一方、権威主義政権の下で生活する人たちは39.4%に達し、2022年の36.9%からさらに悪化した。
地区として見た場合、2023年に民主主主義指数が上昇したのは西欧地区のみ。また、世界で「完全な民主主義」と評価された24カ国のうち15カ国が西欧地区に存在する。カナダは北米で唯一の「完全な民主主義」。米国は2016年から「欠陥のある民主主義」に甘んじている。「アジアとオーストラリア、ニュージーランド、及び近隣の一部太平洋島嶼国」地区で「完全な民主主義」にカテゴライズされたのはオーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、台湾の5つ。