文化部(文化政策などを担う省庁)による「国際アーティスト・イン・レジデンス交流成果共有会」が22日、台湾北部・台北市内で開催中の「台北国際ブックフェア」の中で開かれた。「アーティスト・イン・レジデンス」とはアーティストが一定期間、特定の場所を訪れてそこで生活しながら創作活動を行うこと。
22日のイベントには文化部の補助金を得て海外でのアーティスト・イン・レジデンス事業に参加した創作者9名が参加した。フランスのブロアに滞在した葉長青氏、UJ Chen氏、日本の北九州市で活動した硝子氏、MN氏、ドイツのベルリンに滞在した利格拉楽・阿■氏(■は女へんに烏)、胡淑雯氏、Pam Pam氏、米国のサンタフェ美術学院で活動した画家の呉衍震氏、そしてフランスのアングレームにある「漫画とイメージの国際都市(La Cité internationale de la Bande Dessinée et de l'image, CIBDI)」に滞在した木可柯氏がアーティスト・イン・レジデンスの経験を分かち合った。
漫画家の葉長青氏はフランス中央部ロワール=エ=シェール県のブロアに滞在、現地の神霊に関する伝説を考察した上で、妖怪を探す旅をテーマとした漫画を創作した。アメコミのスーパーヒーロー風漫画を得意とするUJ Chen氏はフランスの教会や城塞の建築ならびに装飾を作品に取り込みんだ。日本の北九州に滞在した硝子氏とMN氏は、現地の歴史や文化、ならびに著名な漫画家を多く輩出する北九州市の「漫画王国」としての魅力を探り、文化の交錯する冒険物語を描き出した。
エッセイストの利格拉楽・阿■氏、作家の胡淑雯氏、漫画家のPam Pam氏はいずれもドイツのベルリン文学コロキウム(Literarisches Colloquium Berlin、LCB)に滞在したアーティストで、2023年10月にはフランクフルト・ブックフェアに参加した台湾パビリオンで創作に関する視点について語ったことがある。利格拉楽・阿■氏は台湾の先住民族文学に対するドイツ人の見方を研究。胡淑雯氏は台湾における1950年代の白色テロ事件と第二次世界大戦がドイツに残した傷跡を対比して研究した。Pam Pam氏は現地での「24時間漫画マラソン」に参加し、各国の漫画家たちと創意を競った。
呉衍震氏は米ニューメキシコ州のサンタフェ美術学院(Santa Fe Art Institute, SFAI)に滞在、過去に台湾に関心を寄せた美学、人類学、人類学及び生態系の課題と、インディアン及びメキシコ文化とを対照した。木可柯氏はフランスのアングレーム国際漫画祭に参加したほか、現地の美術館に触れることでその芸術文化を身を以って体験した。