世界最大の国際人権映画祭「ワン・ワールド国際人権ドキュメンタリー映画祭(One World International Film Festival)」が20日チェコで開幕した。文化部(日本の省レベル)がサポートする中、台北駐チェコ経済文化弁事処文化組は今年も主催者側と協力し、米国籍の葛静文監督の『看不見的国家』、趙徳胤監督の『診所』、国家人権博物館が陳芯宜監督に委託して制作したVR映画『無法離開的人』を上映する。映像を通して台湾の歴史と文化、台湾の映画人たちが関心を寄せる人権問題を伝える。
台北駐チェコ経済文化弁事処の文化組は2023年2月に設置されるとただちにこの映画祭と協力、台湾のアカデミー賞である第59回ゴールデンホース・アワード(金馬奨)で最優秀ドキュメンタリー映画賞を獲得した『九槍』を推薦し、台湾のドキュメンタリー作家の人権問題に対する取り組みを発信、チェコで大きな評判を呼んだ。文化組は今年も同映画祭に参加、上映作品数及びジャンルを増やしたほか、国家電影及視聴文化中心と共同で作品を推薦し、台湾の映像作品が中東欧地区でより広く観られるようにすることに成功した。
『看不見的国家』は米国籍の葛静文(Vanessa Hope)監督が7年を費やして撮影したドキュメンタリーで、台湾の歴史と初の女性総統である蔡英文総統の物語を描く。『診所』はミャンマー出身で現在は台湾籍の趙徳胤監督が手がけた作品。ミャンマー最大の都市ヤンゴンで開発が進む北ダゴン郡区に焦点を当て、現地の診療所の日常を記録することでミャンマーの人々の暮らしを伝え、国家の命運を透かし見る。
陳芯宜監督の『無法離開的人』はこの映画祭で初めて上映される台湾製VR作品で、白色テロの被害者の物語を複数集めたもの。没入感のある「体験」を通じ、届けられなかった遺書をタイムスリップさせることでこの歴史に対する様々な世代の共感を呼び起こす。作品は「移行期の正義」問題に取り組む台湾の努力を現地の人たちに理解させると共に、台湾が持つ高レベルのテクノロジー・アートも表現している。
このほかマレーシアの作品『富都青年』も映画祭開催期間中に上映される。台湾の俳優ウー・カンレン(呉慷仁)さんはこの作品で第60回ゴールデンホース・アワードの最優秀主演男優賞を獲得しており、チェコの観客はウーさんの優れた演技を目に出来ることになる。
「ワン・ワールド国際人権ドキュメンタリー映画祭」はチェコ最大のNGO、「People in Need」が1999年に始めたもの。毎年世界各地の人権に関する映画を集めてチェコ及び欧州の各都市で巡回上映を行うなど、今では世界最大の人権映画祭となった。今年は3月20日から4月21日まで開かれている。