7月26日から19日間にわたって白熱した競技が繰り広げられたパリ五輪が、現地時間11日に閉会した。台湾からは今大会、選手60名が16の競技に参加。そのうち23名は五輪初参加だった。目標に掲げたのは東京五輪の成績(メダル総数12個)を超えること。結果はバドミントン男子ダブルスとボクシング女子57キロ級で金メダル2個、クレー射撃、ボクシング、重量挙げなどで銅メダル5個を獲得。メダルランキングは35位となった。金メダル2個は歴代1位の2004年アテネ五輪、2021年東京五輪と並ぶ成績で、メダル獲得数は東京五輪の12個に次ぐ歴代2位となった。
現地時間11日夜にフランス競技場で行われた閉会式では、ボクシング女子57キロ級で金メダルを獲得した林郁婷選手、「台湾最速男」と呼ばれる陸上の楊俊瀚選手が旗手を務めた。また、ボクシング女子の陳念琴選手、呉詩儀選手、黄筱雯選手、ボクシング男子の甘家葳選手、頼主恩選手、卓球の鄭怡静選手、陸上の彭名揚選手、ブレイキンの孫振選手らが参加した。
なお、台北駐フランス代表処(フランスにおける中華民国大使館に相当)の呉志中代表(駐仏大使に相当)は閉会式に先立ち、ボクシング女子57キロ級で金メダルを獲得した林郁婷選手とボクシング女子66キロ級で銅メダルを獲得した陳念琴選手を同処に招いて頼清徳総統からの祝電を手渡した。
林郁婷選手は今大会、性別適格性を巡る騒動に巻き込まれ、非常に大きなプレッシャーがある中で金メダルを獲得した。また、この問題を巡っては教育部体育署(スポーツ庁に相当)やチャイニーズ・タイペイ・オリンピック委員会の努力に加え、国際オリンピック委員会(IOC)が何度も公式見解を出して林郁婷選手の出場の正当性を訴えるなどして国際世論を動かしてきた。
この偉業を称えるべく、台湾にいる頼清徳総統がその後、台北駐フランス代表処にいる林郁婷選手と陳念琴選手とテレビ電話で対談し、困難をものともせず台湾のためにメダルを獲得し、台湾のボクシングの歴史に新たな1ページを刻んだことを祝福した。頼総統はとりわけ林郁婷選手について、これほど大きなプレッシャーの中で、どの試合も5-0で判定勝ちしたことに触れ、「見ていて非常に心を動かされた」と述べた。
頼総統は、「今大会では林郁婷選手がいわれのない攻撃を受けているのを知り、心が痛むと同時に、何とかしてその疑念を払しょくしようとしたが、喜ばしいことに最後は林選手がその実力をもってすべてを証明してくれた。拳(こぶし)によって誹謗中傷を打ち砕き、同時に国際社会における台湾の存在感をさらに高めてくれた。これらすべては林選手の苦労と努力のたまものだ。15年にわたって支えてきたコーチと、ともに戦って勝ち取った結果だ」と述べた。
頼総統は陳念琴選手についても、表彰台でのはじけるような笑顔が印象的だったと述べ、「あなたのボクシングが好きだ。とても素晴らしい」などと称えた。
このテレビ会議に立ち会った台北駐フランス代表処の呉志中代表は、今回の金メダル2個獲得は歴代1位のアテネ五輪、東京五輪と並ぶ最多であり、メダル獲得数だけが東京五輪に届かず歴代2位だったものの「総統から託された任務は達成しました」と報告。これに対して頼総統も「(この任務を達成するのは)非常に困難なことだった」として、パリ五輪をサポートした外交部の働きに感謝した。