日本の東京藝術大学で6日に始まる展覧会「黄土水とその時代-台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」は、国立台湾美術館と東京藝術大学が主催する国際特別展で、20世紀初頭の台湾と日本の芸術家による作品58点を通じて100年前の東アジアにおける芸術の発展ぶりを再現する。最も注目を集めているのが台湾初の等身大の女性裸体像で国宝の《甘露水》。2日には東京藝術大学で梱包が解かれ、その姿を現した。
文化行政を担う中央省庁の文化部は2018年より台湾の芸術史を改めて整理構築する取り組みを進めており、芸術家・黄土水の作品や歴史資料も次々と発見されている。代表作の《甘露水》は1921年の第3回帝展(現在の日展)入選作。1958年以降行方不明となっていたが2021年に奇跡的に見つかった。長年同作品を保管して来た医師・張鴻標氏の家族が同作品を国家に返還したため、現在は国立台湾美術館が収蔵。2023年2月には国宝に指定された。
黄土水(1895-1930)は台湾出身者初の東京美術学校(東京藝大美術学部の前身)留学生として知られる彫刻家で、1910年から1930年までの台湾美術界を代表する芸術家。今回東京藝術大学は黄土水を生み出した時代背景を紹介するため、特別に同大学美術館が収蔵する20世紀初頭の彫刻や絵画作品48点を厳選。また黄土水については特別コーナーを設置し、国立台湾美術館が慎重に選んだ黄土水の作品10点及び関連の文献を展示する。
国立台湾美術館と東京藝術大学では、黄土水とその師・高村光雲の作品、さらには当時日本の芸術界で活躍した藤島武二、北村西望、朝倉文夫、高村の息子光太郎、荻原守衛らが手がけた作品を同時に展示することで、当時の東京の芸術界の雰囲気を再現し、人々に20世紀初頭の台湾と日本の濃縮された美術史を感じてもらいたいとしている。
「黄土水とその時代-台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」
日程
2024年9月6日(金)-2024年10月20日(日)
会場
東京藝術大学大学美術館 本館 展示室3、4
主催
東京藝術大学 国立台湾美術館
キュレーター
村上敬 薛燕玲