文化行政を担う中央省庁・文化部に属する国立台湾美術館と日本の東京藝術大学が共同で企画した展覧会「黄土水とその時代-台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」が5日、東京藝術大学大学美術館で正式に始まった。開幕セレモニーには文化部の李遠部長(=大臣)、国立台湾美術館の陳貺怡館長、東京藝術大学の日比野克彦学長、東京藝術大学大学美術館の黒川廣子館長らが出席した。同展覧会では台湾と日本の芸術家が手がけた58点の彫刻、絵画、そして文献などが展示される。2023年に国宝に指定された黄土水の代表作《甘露水》も初めて海外で展示される。同展覧会は6日から10月20日まで。
李文化部長は開幕セレモニーでスピーチ、就任100日目で初の外遊先に日本を選んだのは台日の文化交流のほか、さらに重要だったのは、黄土水が自らを育てた東京美術学校(現東京藝術大学)に里帰りするのに付き添うためだったと説明し、「《甘露水》は海から隆起して生まれた台湾のように自信と慈しみに満ちた目で世界を見つめている」と述べた。李文化部長は、西洋や日本などとの文化的交わりを経た台湾は常に「自分は何か」と問いかけてきたとし、このため文化部が2017年から推進する「台湾芸術史再構築プロジェクト」は台湾の真の姿を見つけようとするものであると説明した。李文化部長はまた、日本と引き続き協力して両国の文化を世界に発信していけるよう期待、「台日間に外交関係は無いが、必ずや国交のある国を上回る緊密さで協力していけるはずだ」と述べた。
日本の盛山正仁文部科学大臣は姿を見せなかったものの、夫人に李文化部長へのお祝いの手紙を託した。手紙では盛山氏は、「東京美術学校における台湾出身者初の留学生で、日本政府主催の展覧会に入選した黄土水は台湾の近代美術にとってさきがけとなる彫刻家の一人だ」と評価。今回その国宝《甘露水》をはじめ、大正から昭和初期にかけての西洋絵画や彫刻作品が母校である東京藝術大学で展示されることは、若い黄土水が日本でどのような留学生活をおくったのか、どのように影響を受けて最終的に自らの芸術の道を確立したのかを知る手がかりになると展覧会の意義を指摘した。
「黄土水とその時代-台湾初の洋風彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」
日程
2024年9月6日(金)-2024年10月20日(日) 午前10時から午後5時まで
毎週月曜日と9月17日、24日、10月15日は休館。
ただし9月16日、23日、10月14日は開館。
会場
東京藝術大学大学美術館 本館 展示室3、4
(東京都台東区上野公園12-8)