2025/05/28

Taiwan Today

文化・社会

国家人権博物館と中央研究院、白色テロに関するワークショップ開催

2025/01/10
国家人権博物館と中央研究院台湾史研究所は9日と10日、「2025白色テロ歴史ワークショップ」を開催した。白色テロの被害者、家族(遺族)、学者・専門家らが対談を行い、自らの経験や研究の内容などを共有し、現段階での研究の成果を示した。(文化部)
国家人権博物館と、台湾の最高学術研究機関である中央研究院台湾史研究所は、台湾が経験した白色テロ(台湾華語では白色恐怖)の歴史について一般市民にも認識と理解を深めてもらうため、共同で「台湾白色テロ歴史概覧編纂計画」を実施している。この計画の一環として9日と10日の両日、中央研究院人文社会科学館会議室(台北市南港区)で「2025白色テロ歴史ワークショップ」を開催した。白色テロの被害者、家族(遺族)、学者・専門家らが対談を行い、自らの経験や研究の内容などを共有し、現段階での研究の成果を示した。このワークショップには研究者、人権擁護関係者、一般市民など100人余りが参加した。
 
台湾では戦後まもない1947年2月28日に二・二八事件が勃発。最初はタバコ売りの女性と密売取締員による衝突だったが、これをきっかけに社会の不満が一気に噴出し、台湾各地で市民が蜂起する事態となった。これが政府による大量虐殺を招き、多くの人が犠牲となった。さらに政府は1949年5月19日に「戒厳令」を発し、翌日から台湾全土が戒厳体制に入った。政治活動や言論の自由が厳しく制限され、戒厳令解除(1987年)までの期間、反政府勢力とみなされた人々が投獄・処刑された。この期間に行われた国家暴力を白色テロと呼ぶ。
 
国家人権博物館の陳淑満副館長は、白色テロの時期に行われた歴史の真相を紐解き、展示や教育などの方法でそれを伝えていくことが国家人権博物館に課せられた職責であり、移行期正義の実践における重要なステップだと指摘した。陳淑満副館長によると、国家人権博物館は2017年以降、中央研究院台湾史研究所と協力し、同研究所の許雪姫前所長と「助研究員」の林正慧氏が中心となって歴史、法律、社会、文学など各分野の学者・専門家、それに白色テロ被害者及びその家族(遺族)によるチームを組み、白色テロ関連の大量の資料を整理。これらをわかりやすく且つ正確に編纂し、人物、事件・案件、機関・組織、法律・制度、専門用語の5つに分類。その成果を「国家人権記憶庫」(メモリー・バンク)に登録し、誰でも白色テロの歴史について検索したり、認識できるようにしている。
 
今回のワークショップは2日間にわたって行われた。そのうち9日は座談会が、10日は論文発表が行われた。9日は政治案件の被害者やその家族の物語、政府の監視を受けた台湾基督長老教会の経験、それにフィールドワーク調査の経験などをテーマに座談会が行われた。10日は研究論文10本と、現在行っている「第6期」計画の研究成果が発表された。
 
 

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