2025/02/21

Taiwan Today

文化・社会

タイヤル族出身の陳潔瑤監督、仏クレルモン=フェラン国際短編映画祭で審査員特別賞

2025/02/10
第47回クレルモン=フェラン国際短編映画祭の授賞式が台湾時間9日に行われ、台湾先住民族の一つ、タイヤル族出身の陳潔瑤(Laha Mebow)監督(右)の新作『男孩奇幻夜』(英題:Tayal Forest Club)が国際コンペ部門で「審査員特別賞」を受賞した。写真左はプロデューサーの陳怡辰さん。(文化部)
第47回クレルモン=フェラン国際短編映画祭(Festival international du court métrage de Clermont-Ferrand)の授賞式が台湾時間9日に行われ、台湾先住民族の一つ、タイヤル族出身の映画監督、陳潔瑤(Laha Mebow)さんの新作『男孩奇幻夜』(英題:Tayal Forest Club)が国際コンペ部門で3番目に重要な賞である「審査員特別賞」(Mention spéciale du jury)を受賞した。8000点以上の応募作品の中から64点がノミネートされ、その中でこの栄誉を勝ち取ったことは、台湾映画にとって2025年の幸先の良いスタートとなった。
 
陳潔瑤監督は2022年、長編映画『哈勇家』(邦題:ハヨン一家〜タイヤル族のスピリット)で第59回金馬奨(ゴールデン・ホース・アワード)「最佳導演奨」(最優秀監督賞)を受賞した。台湾先住民族の女性映画監督の受賞は初めてということで注目された。『哈勇家』自体も先住民族のアイデンティティ、先住民族の文化や習慣の継承、都市と集落の格差などに焦点を当てた作品で高い関心が寄せられた。
 
今回受賞した『男孩奇幻夜』はクレルモン=フェラン国際短編映画祭で8回上映された。2月3日の上映後のトークセッションでは、陳潔瑤監督が自身初の短編作品について、物語のテンポや映像技術の扱い方など、これまで作ってきた長編映画やドキュメンタリーとは大きく異なるアプローチで取り組んだことなどを説明した。陳潔瑤監督は、素人俳優を使って集落の少年たちの誠実で自然な感情を引き出したり、カメラを通じて「祖霊」や、宜蘭県南山にあるタイヤル族集落を取り巻く森林、その標高の高さゆえの気候の細やかな変化などを表現することを得意とし、その映像技術で観客に強い印象を与えている。
 
今回はまた、台湾の新進気鋭の監督、巫虹儀さんの作品『金魚缸小姐』(英題:The Fishbowl Girl)も国際コンペ部門でノミネートされ、プロデューサーの黄恵偵さん、脚本家の陳宏瑋さん、主演女優の陳靚さんがクレルモン=フェランに足を運び、交流イベントに参加した。このほか、台湾の映画監督である黄心健さんとフランスの電子音楽の巨匠ジャン・ミッシェル・ジャール(Jean-Michel Jarre)さんによるコラボ作品『自監体』(英題:The eye and I)がXRパノラマ部門でノミネートされた。また、高雄市電影館が映画祭に併設のマーケット「マルシェ・ドゥ・フィルム」(Marche du Film)と提携して『高雄拍─南国幻夢』と題する短編作品集を上映した。
 
クレルモン=フェラン国際短編映画祭は1979年に創設された。現在は世界屈指且つ最大規模を誇る短編映画祭として知られ、「短編映画界のアカデミー賞」とも称される。潜在的才能を持つ映画監督が、海外市場に進出するための重要なステップとなっている。
 
今年の映画祭には17万人の観客と4000人の専門家が足を運んだ。また、世界50カ国から8,400本の作品が出品された。国際コンペ部門には最終的に64点の作品がノミネートされた。陳潔瑤監督の『男孩奇幻夜』と巫虹儀監督の『金魚缸小姐』という、台湾人女性監督の作品2点もこの中に含まれており、台湾映画の存在感を示すこととなった。
 
受賞結果の詳細は公式サイトを参照のこと:https://www.lecourt-clermont.org/palmares/
 

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