2025/04/29

Taiwan Today

文化・社会

外務省「第18回日本国際漫画賞」授賞式、台湾の漫画家・左萱さんが「優秀賞」

2025/03/13
日本の外務省は12日、外務省飯倉公館(東京都港区)で第18回「日本国際漫画賞」授賞式を開催した。台湾からは優秀賞に選ばれた漫画家の左萱さん(中央)が出席した。左は藤井比早之外務副大臣、右は審査委員長の里中満智子さん。(文化部)
日本の外務省は12日、外務省飯倉公館(東京都港区)で第18回「日本国際漫画賞」授賞式を開催した。今年度は95か国・地域から716作品の応募があり、最優秀賞1作品(ブラジル)、優秀賞3作品(タイ、台湾、チリ)を含む受賞作15作品が選ばれた。台湾からは優秀賞に選ばれた漫画家の左萱さんが出席し、自由な創作が許される台湾の土壌が自分を育ててくれたことに感謝した。
 
式典では藤井比早之外務副大臣から賞状が、審査委員長で漫画家の里中満智子さんからトロフィーがそれぞれ授与された。台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表も駆け付けて左萱さんに祝意を伝えた。
 
左萱さんが優秀賞を受賞したのは「芭蕉的芽」(邦題:芭蕉の芽)第2集。1930年代の台北高校(国立台湾師範大学の前身)を舞台にしたもので、性格が正反対の二人の学生、台湾人の葉星橋と日本人の南城雲太郎が、それまでの型にはまった堅苦しい校誌を嫌い、新たな雑誌「鐘之音」を創刊するというストーリーだ。左萱さんは史料を読み解き、繊細かつ独特なタッチで日本統治時代の高校生たちのキャンパスライフと青春を描いた。
 
「日本国際漫画賞」は2007年に開始。第2回目以降、台湾人漫画家の受賞が続いており、これまでの受賞歴は最優秀賞2作品、優秀賞9作品、入賞21作品となっている。左萱さんも作品『神之郷』(邦題:神之郷:かみのふるさと)で、第10回「日本国際漫画賞」で入賞した経験を持つ。
 
授賞式では審査員の一人、岸本憲治さんが「(漫画の内容は)多くの人が共感できる郷愁を呼び起こす学生時代の『原風景』を描いたもの。戦争の足音が徐々に近づく中でも、この作品は当時の自由闊達な雰囲気を的確に伝えている。それは作者が丁寧に取材や時代考証を行ったからだ」とコメントした。また、審査委員長を務めた里中満智子さんは「まだ若いながら青春時代をこのように懐かしく描写できるのは、きっと作者自身が感受性豊かで多彩な青春時代を過ごしたからだろう」と述べた。
 
左萱さんはまた、台湾メディアの取材に対し、「台湾漫画はいままさに成長の段階にある。文化部の支持によって台湾漫画はより多様な姿を見せるだろう。昔は描くのが難しかった長編作品も、文化部が実施する『黒潮計画』のおかげで挑戦しようとする作家も増えるだろう」と述べ、台湾の漫画産業に対する政府の支援に感謝した。
 

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