鄭竹梅董事長は、鄭南榕氏が主張した「100%の言論の自由」について語る際には、同時に鄭南榕氏のもう一つの主張である「台湾独立」についても理解する必要があると指摘。鄭南榕氏は、台湾の主権は中国から独立しているべきであり、それによって初めて、言論の自由を確保し、その他のさまざまな自由を守ることができると述べていたとして、「台湾が中国に属さないでいることが、台湾の自由を守る可能性につながるのだ」と訴えた。
これに続いてスピーチを行った頼総統は、「民主主義、自由、人権の価値に対する台湾の断固とした信念は、すでに世界の模範となっている。しかし、台湾の民主主義と自由はいま、権威主義の勢力による挑戦に直面している」と訴えた。頼総統は続けて、中国が台湾に対して仕掛けるメディア戦、心理戦、法律戦、そしていわゆる「グレーゾーン事態」と呼ばれる行動が台湾の民主主義を徐々にむしばみ、地域の平和と安定に影響を与えていることを具体例を挙げて説明。中国の勢力が台湾の各方面に浸透し、台湾の世論や民主選挙への介入が行われていることに懸念を示した。
頼総統は、こうした中国からの脅威に対して、政府が積極的に対応することを約束した上で、「中国と共謀して、侵略戦争をあおる発言を行ったり、政府の転覆を図ったり、あるいは極端な手段で民主制度を破壊するなど、台湾の自由と多様性を逆手(さかて)にとって混乱を生み出し、国家の安全を脅かすような行為があれば、政府は断固としてこれに対抗する」と強調した。
頼総統はさらに、「台湾の人々の自由を奪ったり、中華民国台湾の消滅を主張するような発言は、どのようなものであっても台湾社会が受け入れる言論の自由ではない。100%の言論の自由とは決して、自由を利用して自由を消滅させるものではないからだ」と指摘。そして、「民主主義、自由、人権を追求する前提として、国家が主権を持たなければならない。なぜなら民主主義とは国民が主権を持つことであり、主権があって初めて民主主義が成立するからだ。民主主義があって初めて自由が存在し、自由があって初めて人権が守られる。もし国家が主権を持たなければ、国民がその国の主人になることができず、当然ながら自由も存在し得ないのだ」と述べた。
頼総統は最後に、「総統としての私の使命は、国家の存続と発展を継続し、そしてこの得難い自由と民主主義を守り、国家の主権が侵害または併呑されないようにすることだ」と訴えた。