ライター・イン・レジデンス事業は台湾文学基地が実施する年度事業の核心を占めるもので、毎年国内外の創作者を「繆思苑」に滞在させている。採用者は、歴史と趣きのあるこの木造の日本家屋で心を落ち着かせて執筆活動に取り組みながら、創作のインスピレーションを得ることができる。同時に、滞在期間中の週末(土曜、日曜)に少なくとも1回、読者との交流会、講演会等(形式は問わず)の公開イベントを行うことが求められる。例えば英訳本で全米図書賞(National Book Awards)翻訳文学部門を受賞した『台湾漫遊録』(邦題:台湾漫遊鉄道のふたり)の作者、楊双子さんは、2021年の第1回ライター・イン・レジデンスで採用され、最初の入居者となった作家だ。
台北市済南路二段と斉東街が交わる場所は、日本統治時代の1920~40年代に台湾総督府職員などの宿舎が多く建設された。文学者のための交流プラットフォームとなる台湾文学基地は、日本統治時代から残るこうした木造宿舎群をリノベーションしたもので、「繆思苑」はそのうちの一棟を指す。「繆思苑」でのライター・イン・レジデンス事業は2021年に始まり、これまでの5年間で60人近く国内外の作家・翻訳者を受け入れてきた。2024年度は50人以上の申し込みがあり、申請者数と海外からの申請が占める割合のいずれも過去最高となった。
日本語の募集要項はこちら(https://tlb.nmtl.gov.tw/jp/news_detail.php?id=153
)を参照のこと。申し込みはオンラインで行うことができる。