この絵本は国立台湾博物館とイラストレーターの鄒駿昇さんが協力して製作したもので、台湾華語版『捉迷蔵』と台湾語版『覕相揣』は2022年に、日本語版『まぼろしの雲豹(ウンピョウ)をさがして』は2024年に出版された。工夫を凝らしたレイアウトと奥深いストーリーが評価され、台湾華語版は出版と同時に2022年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展でノミネートされたほか、第19回「金蝶奨」(台湾出版設計大賞)、台北国際書展大奨を相次いで獲得。イタリアのボローニャ・ラガッツイ賞「すばらしい本100選」にも選ばれた。また、台湾語版は2023年にドイツの国際推薦児童図書目録『ホワイト・レイブンズ』(The White Ravens)に選ばれている。
ネコ科ウンピョウ属に分類される台湾雲豹(タイワンウンピョウ)はかつて台湾に生息していたが、2013年に絶滅が宣言された「幻の動物」。国立台湾博物館によると、この絵本は、19世紀半ばに台湾に赴任したイギリス人外交官のロバート・スウィホーと、150年後の現代の生態学者である姜博仁がともに雲豹を探し求める姿を描いた、時間を越えた物語となっている。また、台湾雲豹の物語を通して、台湾の山林や自然、生態系への関心を呼びかける内容にもなっている。なお、日本語版は、国立台東大学児童文学研究所の游珮芸副教授の仲介により、日本の版権エージェント「太台本屋(tai-tai books)」が翻訳出版の橋渡しを担当し、直木賞作家で台湾にルーツを持つ東山彰良氏が日本語翻訳を手掛けた。
「えほん50」は、日本の公益社団法人全国学校図書館協議会絵本委員会が過去1年間に刊行された絵本の中から、ぜひ子どもたちに読んでほしいと推薦するものを厳選したもの。子どもの読書推進会議とともに、毎年2,000冊あまりの新刊書の中から、教育価値と芸術性の両方を兼ね備えた作品を厳選している。日本全国の学校や公共図書館などで選書のための信頼できる情報源として広く活用されており、子どもを持つ保護者や教員などから重視されると同時に、大きな影響力を持っている。
2025「えほん50」についてはこちらを参照のこと:https://www.j-sla.or.jp/recommend/ehon50/