万華鏡の手法を使って清朝時代の琺瑯器(七宝焼き)の美しさを伝えるデジタル展示。(写真:国立故宮博物院)
デジタル展「捕捉霊光:尋找新感動」は、故宮が持つ8K高画質技術で撮影したドキュメンタリーフィルムを素材とし、大型の没入型シアターを設置したもの。まるで山水画の世界に入り込んだような体験ができるということで、「ニューメディア:高画質技術」部門で銀賞を受賞した。また、『早春図』や『万壑松風図』などの文物の8K画像を使ったデジタル装置は、観客が視覚及び聴覚の両方から文物と、リアル及びバーチャルの双方向のインタラクションが楽しめると評価され、3つの部門で2つの金賞と1つの銀賞を獲得した。
このほか、故宮のプロモーション動画「故宮好客」(A True Taiwanese Welcome)が、「公共広報/400PSAテレビマーケティング」部門で銀賞を受賞した。この動画は、故宮の北部院区(台北市)および南部院区(嘉義県)を舞台に、若者たちが文物の美を鑑賞しつつ、地元文化の魅力を楽しむ様子を繊細に描写し、海外の観光客に対して故宮と台湾の魅力を伝えるというもの。
国立故宮博物院は20年以上前からデジタル化のインフラ建設を進めてきた。長年の努力が実り、同院はデジタルメディアの応用におけるパイオニアとしての地位を築いてきた。フィルムのデジタル化、文物の3Dスキャンからアニメ化、VR(仮想現実)や没入型映像を使った展示など、文物にまつわる物語を新たな表現方法で伝えている。静的なデジタル出力から動的なインタラクティブ技術に至るまで、故宮はさまざまな手法で観客と文物との距離を縮めることに成功し、まさに「開かれた故宮」、「みんなの故宮」を実現している。