テッポウユリを手向ける文化部の李遠部長。(写真:文化部)
昨年4月18日、行政院(内閣)は5月19日を「白色テロ記憶の日」と定めることを承認した。祝祭日ではないため休みではないが、台湾社会全体が白色テロの歴史を振り返り、被害を受けた人々を追悼し、民主主義と人権の価値について理解を深めて欲しいとの願いを込めた。
その記念式典が文化部の主催で行われるのはこれが初めて。文化部国家人権記念館の白色テロ景美紀念園区で行われた式典には、総統府の何志偉副秘書長、行政院の林明昕政務委員(無任所大臣)、文化部の李遠部長、国家人権博物館の洪世芳館長、白色テロ被害者家族代表の黄春蘭さん、それに「519白色テロ記憶の日」発起人代表の王美琇さんなど、白色テロの被害者やその家族を含む100人以上が出席した。
式典では、演劇を通じて被害者の境遇や家族の苦しみが再現された。また、鐘の音とともに被害者の名前が読み上げられた。白色テロ被害者として知られる作家の陳列さんが執筆した『519記憶祈願文』が朗読され、「白色テロの歴史を記憶することで、人々が心の底から被害者を追悼できるように」との願いが込められた。式典の最後には、来賓たちが記念碑へ向かい、それぞれ花を手向けて、白色テロで亡くなった人々を偲んだ。
総統府の何志偉副秘書長は、「白色テロは台湾だけでなく、世界の民主主義の歴史においても消し去ることのできない記憶だ。海外からやってきた賓客を案内する際、我々はいつも、総統府から向かって右手前方にある「白色テロ被害者記念碑」に連れて行く。この記念碑は、歴史を忘れてはならないということを、世代を超えて語り継ぐ必要があることを私たちに思い出させてくれる」と語った。
文化部の李遠部長は、「2025年は非常に重要な年だ。今年、人権博物館は景美紀念園区と緑島紀念園区の両方で、被害者の名前を刻んだ記念碑の除幕式を行った。台湾のすべての人々にとって、決して忘れてはならない日となった」と強調した。そして「文化部長として私にできることは、在任中に移行期正義に全力で取り組むことだ」と述べた。
李遠部長は続けて、「政府が何度も白色テロを取り上げるのは、憎しみや対立を煽るためではない。これほど多くの命が失われたのに、なぜ一緒に向き合って、この歴史を平和の始まりにすることができないのだろうか。しっかりと向き合わない限り、この憎しみは永遠に解消されない」などと訴えた。