中央気象署の呂国臣署長は、気象署は2023年のAI(人工知能)ブーム到来以降、積極的にAI技術を導入していると指摘。その具体例として、昨年台風3号(ケーミー)が台湾に接近した際、台風の影響が出る5日前にその進路を把握し、3日前には災害をもたらす可能性のある地域に豪雨警報を出すことができたことを紹介した。また、これにより災害リスクの高い自治体は、住民の大規模な避難を事前に開始し、台風襲来前に効果的な早期警報行動をとることができたと述べた。
また、気象署はNVIDIA(エヌビディア)や学術研究機関などと協力して、台湾に適したAIモデルを共同開発し、気象サービスと早期警報の効果を高めていることも紹介した。そして、今後も「すべての人に早期警報システムを」というイニシアチブの実践を進め、すべての市民の安全を守る決意を示した。
ワークショップでは経済部の賴建信常務次長(事務次官)と日本の京都大学の名誉教授である中北英一氏が基調講演を行った。頼常務次長は洪水・干ばつに関する政策決定への即時気象データの応用について、中北氏は日本における気象レーダーを用いたゲリラ豪雨の観測技術と都市部の浸水リスク予測に関する経験について発表した。また、また、NVIDIAの専門家であるStan Posey氏が、AI駆動による地球システムのデジタルツイン(Digital Twins)技術を紹介。さらに、欧州気象学会(EMS)のBently会長も、絵国やEU(欧州連合)における気候サービスとAI統合の発展戦略について講演した。
今回のワークショップ開催の狙いは、各界が「すべての人に対する早期警報システム」に対する理解と共通認識を深めることにある。国内外の官民セクターが一致して人材育成と技術交流を推進し、先見性と実効性を備えた気候サービス体制を構築し、ひいては台湾全体の防災レジリエンスを向上させることを目指している。