台湾南部の高雄市で18日、台湾先住民を主体にした初の国立博物館となる「国立原住民族博物館設立準備室」が正式に発足した。国の文化事業の重要なマイルストーンとなるこの博物館は、2032年に開幕が予定されている。
設立準備室発足を祝い開かれた看板掛けの式典では、高雄市の陳其邁市長、原住民族委員会の曽智勇(Ljaucu・Zingrur)主任委員(大臣に相当)及び台湾来訪中のマーシャル諸島共和国の閣僚などが出席し、博物館の設立準備作業が正式に開始することをともに宣言した。また同時に、マーシャル諸島共和国のアレレ博物館と協力覚書を交わし、台湾の先住民族文化の国際的な交流に向け新たな一歩を踏み出した。
原住民族委員会の曽主任委員はあいさつで、先住民族を主体にしたこの国立博物館を通じて、世界に向けて台湾の先住民族の歴史と文化を伝えるとともに、これがオーストロネシア文化の研究と交流のハブとなり、より多くの市民の先住民族への理解促進につながることを期待したいと語った。
高雄市の陳市長は、高雄市は地理的にもオーストロネシア語族とのつながりがあり、また国交樹立国との交流も盛んであるとして、文化外交の推進とさまざまなエスニックグループ間の交流を進める拠点として、博物館の建設と運営に協力し、先住民の文化、歴史及び芸術の発信の中心となるよう整備していきたいと述べた。
国立原住民族博物館は、澄清湖のそばの14.37ヘクタールの土地に建設され、メインの展示館に加え、食農教室、教育推進センター、文化財収蔵、研究などのための施設を設け、今年から人材育成や展示、運営に向けた準備作業を開始する。
なお、設立準備室段階においてマーシャル諸島共和国のアレレ博物館と覚書を締結したことは、準備段階から国際的な協力を積極的に進め、太平洋から全世界まで先住民族に関する組織と緊密な関係を結ぶ方針を象徴するものだという。将来的には、国立原住民族博物館が、台湾とオーストロネシア語族との架け橋となり、知識の共有や文化交流、学術研究の国際的なプラットフォームの役割を果たし、世界に向けて台湾の先住民族文化の奥深さと活力を発信していくことが期待されている。