映画監督の蕭菊貞さんが5年間で80人以上へのインタビューをもとに完成させた台湾半導体産業に関するドキュメンタリー映画『造山者-世紀的賭注』(A Chip Odyssey)が大ヒットし、6月13日の封切りから10日間で900万台湾元(約4,428万円)近い興行収入を記録している。6月21日(土)には1日当たりの興行収入でトップに躍り出た。
この映画は、ゼロからスタートした台湾の半導体産業が、孤立無援の状況から全世界に影響を与えるほどまで成長した半世紀の軌跡を記録したもの。海外メディアからも高い関心が寄せられ、米国、フランス、韓国など多数の国からインタビューのオファーが相次いでいる。
ある評論家は、「本作品は単なる科学技術をテーマにした作品の枠を超え、台湾が貧困と国際的孤立に苦しむ中で、背水の陣で勝負に出て、そして世界の勢力図においていかに重要な位置を築いてきたかを描いたものだ。半導体をテーマにしたドキュメンタリー映画で涙を流すとは思わなかったが、この映画はそれを現実のものにした」と評価している。
蕭美琴副総統も自身のSNSでこの映画を鑑賞したことを明らかにし、台湾の運命を変えた半導体産業の歴史を記録してくれた蕭菊貞監督に感謝した上で、「この映画が描いているのは、単なる台湾半導体産業の発展の軌跡だけではない。もっと重要なことは、逆境の中で我々が踏みとどまることができた信念と、私たちを支えてくれた力について描いているということだ」と指摘。また、「台湾の生存についても、成功しか許されず、失敗は許されない。未来に向けて一人ひとりがそれぞれの専門分野で「造山精神」を持ち続け、困難を恐れずに前進すれば、めまぐるしく変化する国際情勢の中でも台湾は必ず困難を克服し、揺るぎない存在であり続けられると信じていると投稿した。
映画の配給会社は、「この映画は台湾半導体産業の黎明期から現在までのを振り返るだけでなく、カメラを2025年の現在へと向け、直近の国際情勢と、それに直面する台湾の姿を描いている。台湾はいやおうなしにが地政学的対立の最前線に立たされている。この映画が描いているのは半世紀間の歴史であると同時に、いまを生きるすべての人の未来に関わる問題でもある」とコメントしている。