尤瑪・達陸さんは、映画「セデック・バレ」を実現させた功労者の一人。映画での衣装の半分近くは彼女が率いる「野桐工坊」によるもの。尤瑪・達陸さんは29歳の時に公務員生活を捨て、200の集落を訪ねて、失われつつあるタイヤル族の機織り文化を収集、復活させた。そして、「野桐工坊」傘下の「機織り女性発展文化クリエイティブ産業」と共に、今では教育分野にも進出している。
今年2月上旬、「色舞繞民族学園」はタイヤル族のアワ祭りの日に開校した。「色舞繞」は地名で、その意味は「染色の池」。学齢前の子供たちの教室は「野桐工坊」の側にあり、機織りをするお母さんたちも教材や教具の製作に協力。子供たちは授業の合間に、母親たちが機織りをしている姿を見ることもできる。
生徒は学齢前の「幼児」ながら、教師陣は大学レベルの陣容で、尤瑪・達陸さんなど8人の「文化を代表する人物」。みな、国立台湾大学などの教育機関から招請されるタイヤル族の専門家たちだ。「色舞繞民族学園」では彼らが伝統的な祭儀や信仰、社会制度などの教材をサポートしている。子供たちのクラスでは「生活との結合」を目指しており、森林が彼らの教室である。子供たちは種まき、養鶏、たけのこ狩りなどを学び、ここにきて3週間も経てば母語を操るようになるという。
尤瑪・達陸さんは、伝統文化を伝承していくには「底辺をしっかりと築くこと」が大切だと考え、民族教育は集落に行わせるよう求めている。3年間を実験教育の1期として、段階的に小中学校へとレベルアップ、最終的には大学レベルに高めていきたいと意欲を示している。