2025/04/29

Taiwan Today

文化・社会

時代と共に移り変わる中秋節のしきたり

2012/09/25
旧暦8月15日は中秋節である。台湾では、今でも一般に、月見をしながら月餅や、柑橘類の果物、ブンタンを食べる。(外交部サイトより)
毎年旧暦8月15日(今年は9月30日)の中秋節(中秋の名月)は、台湾の人々にとって、春節(旧正月)と端午の節句に並ぶ、年中で最も重要な三大行事の一つである。中華文化の暦では、旧暦8月は秋を迎えて2カ月目、秋の真ん中に当たるため「中秋」と人々に呼ばれる。この月の15日に見える満月は、特別に丸く美しく、「団円(一家団らん)」を象徴するとして、「団円節」とも呼ばれる。 中華文化の影響を受け、この「中秋節」は日本でも伝統行事となっている。日本では十五夜とか、中秋の名月、芋名月とも呼ばれ、十三夜は栗名月とか豆名月と呼ばれる。ただし、日本で中秋節に食べるものは、華人の「月餅」とは違い、和菓子の「月見団子」である。そして、月を愛でることを「月見」と言う。 台湾では、今でも一般に、月見をしながら月餅や、柑橘類の果物、ブンタンを食べる。このほか、一部の地方では、土地の守り神「土地公」が普段から見守ってくれることをねぎらい、中秋節の夕方に土地公を祭るなど、その土地ならではのユニークな行事が催される。また、月は子どもの守護神であるという伝説から、子どものいる家庭では、ブンタンなどの果物や月餅などの菓子を供えて月を祭る。 さらに台湾では、1980年代の半ばから中秋節にバーベキューを楽しむ習慣が生まれた。これは、台湾経済が躍進を始め、生活様式の西洋化が進んだため、伝統的なしきたりに影響したものと言われている。現在、台湾では北から南まで、中秋節の当日には公園や道端、海辺や住宅のベランダ、屋上などあらゆるところでバーベキューを行う姿がみられ、あたかも国民的なイベントのようになっている。 しかし、近頃では健康への意識が高まり、バーベキューの食材は、豚バラ肉のような脂身の多い肉から、低脂肪の鳥もも肉(皮なし)、イカ、魚介類、赤身の肉を選ぶ傾向が徐々に高まっている。また、合わせて野菜や果物をたくさん摂ることで、食物繊維を補うことも多くなっている。さらに、中には自家製のたれを用意して、ナトリウムを摂り過ぎないよう気を付けている人もいる。月餅も、最近では低カロリー・高食物繊維がセールスポイントになっている。このほか、省エネ・二酸化炭素(CO2)排出量削減の考えが主流となっていることから、政府はバーベキューを控えるよう人々に呼び掛けている。業者に対しては、製品の過剰包装を規制する法に基づき、包装を簡素化し、環境保護と省エネ・CO2削減を実現するよう奨励している。

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