台北市での「拜拜」の様子。リュウガン、リンゴ、文旦などの果物が供えられている。台湾の新鮮で高品質な果物は欠かせない。(台北市政府サイトより)
旧暦7月(今年は8月7日から9月4日)はあの世とこの世を隔てる門が開いて、祖先や無縁仏の霊魂がこの世に舞い戻る「鬼月」。伝統的な風習に従い、多くの人がこの間、豚やニワトリ、キャンディやビスケット、果物や酒類などを用意して「拜拜」(供養の活動)を行う。「普渡」(済度)の目的は功徳を施し、善行し、喜捨すると同時に家族の平安と順調な暮らしを祈る。 台湾では30種類あまりの果樹が植えられており、栽培面積は約19万ヘクタールに及ぶ。果物の生産量は約266万トンで、生産額は791億台湾元(約2582億日本円)に達する。ほぼ一年、四季を通して新鮮な果物が食べられる。このため、果物は御供え物として欠かせない。 かつて「鬼月」における供養の活動ではタブーが多く、一部の果物は受け入れられなかった。しかし、果物の名前を組み合わせて縁起を担ぐことも可能である。例えば、バナナ・ナシ・パイナップルで「招来旺」(繁栄を招く)、文旦(ブンタン)・リンゴ・グアバで「佑子平安和楽」(子供の平安と幸せを祈る)、ブドウ・かんきつ類・ナツメで「討吉利」(幸運を呼ぶ)など。 供養は誠意を込めさえすれば、その信仰と敬意の心が伝わるのみならず、この世に舞い戻った霊魂たちに、台湾の高品質な果物を味わってもらえるのである。