「台鉄便當」、金属製の容器に入れられたレトロなスタイルのもの。(中央社)
台湾式の弁当といえば、ご飯を主とした箱入りの弁当だ。通常はご飯を底に敷き詰め、その上にメインのおかず1種類とその他のおかずが3~5種類並べられる。メインのおかず以外のおかずは通常固定されたメニューで、最も多く見られるのは季節の野菜をシンプルに炒めたもの、煮タマゴ、豆乾(固く作られた豆腐)、切り干し大根など。メインのおかずは多くが、「排骨」(豚の骨付きばら肉を揚げたものや煮たもの)、「爌肉」(豚の三枚肉を柔らかく煮込んだもの)、「香腸」(中華風ソーセージ)、「鶏排」(鶏の肉を揚げたもの)、「魚排」(魚の切り身を炒めたものや揚げたもの)など。 台湾では弁当のことを最初は「飯包」と呼んだが、日本占領時代の食文化の影響を受け、日本語の「弁当」から「便當」へと変化して今に至っている。台湾式の弁当の雛形とも言えるのは「鉄路便當」(鉄道弁当)で、これもまた日本の駅弁からきた。 「台鉄便當」(台湾鉄道弁当)、「福隆便當」(福隆弁当)、「池上便當」(池上弁当)、「奮起湖便當」(奮起湖弁当)は、台湾の鉄道弁当の四天王だと言えるだろう。そのうち、日本人にも良く知られる「台鉄便當」は台湾鉄道が1949年に売り出した。当初は、豚の骨付きばら肉を煮た「排骨」が一切れに、煮タマゴ、「雪裡紅」(カラシナ)、たくあん、豆乾がおかずで、アルミ製の丸い容器に入れたものだった。 弁当は台湾の人たち全ての飲食文化であり、小学校から高校まで、学生は皆弁当を持って登校した経験がある。サラリーマンは勤務時間が長く、帰宅後食事を作る時間がないため弁当を買って帰り、一家で食べたことがさらに弁当を普及させた。馬英九総統は2008年、総統就任式の日、「鉄路便當」で日本からやってきた祝賀団をもてなし、外交史上初めての試みと注目された。