文化部(日本の省レベルに相当)所属の国立台湾博物館研究部はこのほど、日本占領時代の「台湾総督府博物館」の収蔵品に関する帳簿を整理した際、霧社事件(1930年)で知られる抗日の英雄、莫那魯道(モーナ・ルダオ)の唯一の遺品である、貝殻で作られた踵の装飾品一対を発見した。 同博物館によると、帳簿のうち一冊に、1927~29年に当時の台中州能高郡馬赫坡社(現在の台湾中部・南投県仁愛郷精英村)で、踵につける貝殻製の装飾品一対を購入した記録があった。そして、日本語のカタカナで書かれた売主の名前を鑑定したところ、当時の馬赫坡社の長、モーナ・ルダオであることが判明した。 同博物館研究部の李子寧部長によると、台湾の
先住民族の一つ、セデック族において、踵の装飾品の装着は「首狩り」を二度以上行った男性にしか認められないことから、これはモーナ・ルダオが地位を象徴するため、身に着けていたものである可能性が高い。1927~29年に、台湾本島全域で先住民族の文物を収集していた「佐久間財団」に当時の2日本円で売られ、その後、同財団が収集した全てのコレクションを「台湾総督府博物館」(現在の国立台湾博物館)に渡した。 国立台湾博物館は、この貴重な文物を27日より凱達格蘭文化館(台湾北部・台北市北投区中山路3-1号)での「首都で見る先住民族の古典:台湾先住民族収蔵品展」で初めて公開することに決定。同博物館ではこの他にも、離島・蘭嶼のダウ(ヤミ)族とフィリピン・バタン諸島の文化の結びつきを世界で唯一証明する物件である、全てなめし皮で作られた「牛皮甲」や、台湾中部の平埔族である巴則海族の独特の織物技術を示す「無袖短衣」など、台湾先住民族の貴重な文物15点を展示する。