高雄市野鳥学会の林昆海総幹事によれば、10月29日に調査担当者と船で東沙環礁に出たところ、東沙島の南方にカツオドリ1羽が飛んでいるのが見え、急いで記録した。戻ってから東沙の生態記録資料や鳥類の観察に関する国際文献を確認したところ、正式な資料では、東沙でのカツオドリの生息は、すでに148年間にわたり記録されていないことが分かった。
海洋国家公園管理処保育研究課の荘正賢課長は、東沙環礁のカツオドリに関する文献は、直近のもので英国の探検家、カスバート・コリングウッド氏が1867年に記したものだったと指摘。これによれば、カツオドリは東沙やその周辺海域における優占種であったという。ただ、第二次世界大戦の間、旧日本軍が島に上陸し、鳥のふんからリン鉱石を採取して肥料や軍備に利用、戦後になって島は軍や海軍保安当局が駐留し保全にあたっているが、すでにカツオドリは見られなくなっていた。
林総幹事によると、文献の記録は1件しかないため、東沙でカツオドリがいつごろから見られなくなったのかは判断が難しいようだ。ただ今回の発見は、観察記録の点から言えば大発見に間違いないという。