2025/04/27

Taiwan Today

文化・社会

世界三大宗教イベント、9日間にわたる大甲媽祖巡礼

2016/04/08
毎年9日間にわたって行われる台中市大甲区「鎮瀾宮」の媽祖巡礼。大勢の信者たちが足を運ぶ。世界三大宗教イベントの1つにも数えられる。2016年は4月9日から17日まで。(中央社)

台湾中部・台中市大甲区にある「鎮瀾宮(道教の廟、航海の安全などを守る女神・媽祖を祀っている)」の9日間にわたる媽祖巡礼。340キロメートルの道のりを移動しながら、100余りの媽祖廟に立ち寄る。沿道では信者たちが線香を焚き、供え物を並べ、幸福を祈願する。巡礼に同行する無数の信者たちの様子は壮観で、世界最大のドキュメンタリー専門チャンネルである米「ディスカバリーチャンネル」によって「世界三大宗教イベント」の一つと称えられるほど。国連教育科学文化機関(UNESCO)の「無形文化遺産」にも登録されている。

大甲「鎮瀾宮」に関する記載によると、大甲媽祖の巡礼は、「鎮瀾宮」が建立されたとき、中国大陸福建省莆田市の湄州への参拝活動が始まりだという。当時、台中の大安港や温寮港と中国大陸・湄州を結ぶ船が出ており、清朝時代には約12年に1度、媽祖への参拝活動が行われていた。日本占領時代になると、日本政府が台湾海峡両岸の往来を厳しく禁止したため、湄州への媽祖参拝は途絶えてしまった。

当時、牛を売り買いする商売人たちはよく、台中の大甲と北港(台湾中部・雲林県)にある市場を往来していた。神様への感謝の気持ちを表すため、人々の間で願ほどきの祭典が形成されていった。当初は大甲の人々が団体を成し、雲林県北港にある「朝天宮」を訪れて参拝していたが、どちらが「分祀」に当たるかで争議になった。その後、大甲媽祖の参拝先は、嘉義県(台湾中南部)の新港にある「奉天宮」となり、且つ「遶境」(巡礼の意味)の二文字が付け加えられた。

大甲媽祖の巡礼が行われる日程は決まっているわけではなく、毎年「元宵節(旧暦1月15日)」の夜、「鎮瀾宮」で「三献礼」と呼ばれる儀式を行う。それが終わると「鎮瀾宮」の董事長(会長)が読経した上で、神具を振って媽祖の意向を確かめる。その結果で巡礼の日時を決定するのだ。

大甲媽祖の8泊9日にわたる巡礼活動で「鎮瀾宮」は、伝統に基づいた10項目の儀式を執り行う。まずは巡礼の日時を決めるための神具による占いの「筊筶」、巡礼が間もなく始まることを知らせる「豎旗」、安全祈願の読経の「祈安」、政府高官が神輿を担いで道中の安全を祈願する「上轎」、神輿を担いで「鎮瀾宮」を出発する「起駕」、目的地である新港「奉天宮」や途中の巡礼先の媽祖廟に入る「駐駕」、「奉天宮」での「祈福」や「祝寿(媽祖の誕生祝いの儀式)」、「奉天宮」から出発して「鎮瀾宮」に戻る「回駕」、「鎮瀾宮」にたどり着いた際の「安座」などである。どれも決められた手順、場所、時間で行わなければならない、神聖な儀式である。

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