国家中山科学研究院(中科院)は、米国在台協会(AIT、米国の対台湾窓口機関)の招待を受け、米カリフォルニア州アナハイムで開催されたセンシング、イメージング、赤外線技術関連の見本市、2017年「SPIE DCS(Defense + Commercial Sensing)Expo」(4月11日から13日)に初出展した。海外企業からの受注を目指し、対UAV (無人機) 防衛システム(UAV Defense System)や多機能監視システム(Multi-functional Observation System)など独自開発した防衛製品を展示した。
今年の「SPIE DCS」には、米の航空機・宇宙船の開発製造会社ロッキード・マーティンなど、主要な軍事企業が出展した。中科院材料・光電研究所の程一誠所長は、台湾の情報通信産業や電子産業は世界的にも有名であり、今回出展する品目は台湾が優位性を持つ領域をカバーしたものだと指摘する。
程所長によると、中科院が研究・開発した多機能監視システム、対UAV防衛システム、電子光学ターゲティングシステム(Electro Optical Tracking System、略称EOTS)などは、いずれも中科院が独自に生産したキーパーツ、例えばエピチップ、赤外線サーモグラフィー、レーザージャイロスコープなどを利用して作り上げたもの。こうした研究・開発の成果は、国防戦備上のニーズを満たすだけでなく、民間での商用利用も期待できる。例えば多機能監視システムは、森林での生態系保護や違法伐採取り締まりを目的として、人の動きや夜行性動物などの動きの監視に応用することが可能。警察組織が密入国や密輸入などの取り締まりを行う際にも使用することができる。
また、中科院が展示する対UAV防衛システムは、現在のところ世界で最も完全な無人機防衛システムだと言うことができる。これは中科院が2016年、海外の見本市に出展した際、顧客からの依頼を受けて開発したもの。中科院は1年の歳月をかけ、傘下の複数の研究所を巻き込んで完成にこぎつけた。
電子光学ターゲティングシステムは、水平に360度、上下90度の旋回が可能で、広視覚の監視に適している。もう一つの出展製品である車両用パノラマビューイメージシステム(Panoramic Vehicle Imaging System)は、車両周辺の映像を提供し、死角ゼロで車外の動態を観察することができるというもの。
中科院が自社生産した一部製品は、すでに輸出申請を行っている。また、今回の初出展をきかっけに、中科院では米国での知名度を上げ、国際マーケティングを強化し、世界の産業チェーンを開拓していきたい考え。