2025/07/01

Taiwan Today

経済

屏東産のカカオ豆を世界に知らしめたチョコレート

2017/08/29
台湾最南端・屏東県東港鎮にある福湾荘園(Fuwan Villa)の総料理長、許華仁さん(写真)は、屏東産カカオ豆でチョコレートを製作し、今年開催された「インターナショナルチョコレートアワード」アジア太平洋地区大会で、金賞5個、銀賞2個、銅賞1個を獲得した。今年10月に開催される世界大会に、台湾代表として出場する。許さんが手に持つのは金賞を獲得したチョコレート「台湾1号62%」。(中央社)
台湾最南端・屏東県東港鎮にある福湾荘園(Fuwan Villa)の総料理長、許華仁さんは、屏東産カカオ豆でチョコレートを製作し、今年開催された「インターナショナルチョコレートアワード(International Chocolate Awards)」アジア太平洋地区大会で、金賞5個、銀賞2個、銅賞1個を獲得した。屏東県は、台湾におけるカカオ豆の主要な産地だが、その歴史はまだ10年程度と浅い。もともとこの地域で栽培されていたビンロウを伐採し、その代替作物として作付けするようになったものだ。現在は屏東県の中でも、特に客家(台湾第2のエスニックグループ)の人々が多く住む地域の主要な農産品となっている。
 
許華仁さんはもともと、父親の許峰嘉さんと共に、東港鎮で民宿「福湾荘園」を経営していた。許華仁さんははそこで、東港で水揚げされるサクラエビやマグロを使った特産品を開発し、客に提供していた。中でもサクラエビを使ったチョコレートは客からの評判も高かった。これが、許華仁さんがチョコレートに興味を持つきっかけとなった。
 
チョコレートの品評会「インターナショナルチョコレートアワード」の存在を知った許華仁さんは1年の歳月をかけ、過去に受賞したことのあるチョコレート100種類余りを海外から取り寄せ、試食した。その結果、受賞したチョコレートはどれも「非常に個性がある」ことを発見した。例えばそれは、酸味であったり、ハチミツが持つフローラルな香りだったりした。また、外国人が好むチョコレートは、その成長の記憶と関係があることも発見した。
 
許華仁さんによると、屏東産のカカオ豆は酸味が足りないが、ミルクの香り、焦げたような香り、お茶の香りなど、天然の香りを持つのが特徴。軽く火を通すことで、コクのあるミルクの香りが出てくる。このため、ハニーバタークッキーのような味を出すことができる。これが、審査員たちの「子どものころに食べた、母の手作りクッキー」の記憶を呼び起こすことに成功した。
 
世界でも最も質の良いカカオ豆はペルーやボリビアなどに集中している。屏東産のカカオ豆は雑種で、現在もその品種は明確に分類されていない。それでも屏東産のカカオ豆を使うのは、「もちろん台湾を愛しているから」と語る許華仁さん。屏東産のカカオ豆で、産業を盛り上げたいと考えている。
 
近年海外では、カカオ豆の特長を活かし、カカオ豆の選別から、チョコレートに加工するまでの全ての工程を、こだわりをもって行う「Bean to Bar」というスタイルが流行っている。屏東産カカオを使ったチョコレート作りもまさに、全工程や食品の安全性、美味しさまで、すべてを正確にコントロールし、自分の好きな風味に調整できるという優位性がある。
 
許華仁さんは、「グルメ界では現在、産地の風土にこだわる風潮がある。台湾のカカオ豆には、台湾の風味が凝縮しており、カカオ豆産業は台湾での発展に適している。台湾は世界でも数少ない、カカオ豆農園ツアーを行うことができる場所だ」と指摘する。
 
「インターナショナルチョコレートアワード」アジア太平洋地区大会では、台湾からの参加者の中で最も良い成績を収めた許華仁さん。今年10月に開催される世界大会には、台湾代表として出場することになっている。台湾産カカオ豆を世界にアピールし、台湾だけの高品質チョコレートブランドを確立したいと意気込む。ライバルは、スイーツの世界をリードする日本やフランスのショコラティエだ。いつか世界中の人々に、美味しいチョコレートといえば台湾産のカカオ豆、と連想してもらえるような日がくることを願っている。
 

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