2025/06/21

Taiwan Today

経済

公平交易委員会、米クアルコム社に234億台湾元の課徴金求める

2017/10/13
公平交易委員会は、米半導体大手のクアルコム社が不公平な方式で他の業者による競争を阻んできたとして、234億台湾元の課徴金(制裁金)の支払いを命じたことを明らかにした。左から2人目が公平交易委員会の彭紹瑾副主任委員。(中央社)
公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当)はこのほど、モバイル端末用チップの市場で独占的な地位を占める米半導体大手のクアルコム社は不公平な方式で他の業者による競争を直接、もしくは間接的に阻んできたと批判、この違法な状況は少なくとも7年間続き、その間、同社は台湾の業者から約4,000億台湾元(約1兆4,716億日本円)の特許料を徴収していたとして、同社に対し、234億台湾元(約860億日本円)の課徴金(制裁金)の支払いを命じたことを明らかにした。公平交易委員会が創設されて以来、単一の企業に対する課徴金として最大の金額だという。
 
公平交易委員会の彭紹瑾副主任委員は、クアルコム社はCDMA、WCDMA、LTEなど移動体通信の技術標準に必要な数多くの特許を有していると同時に、これらのモバイル端末のベースバンドチップ市場における独占的な業者だと指摘。その上で、公平交易委員会は2015年2月中旬に自発的に調査を開始、2年8カ月の調査の結果、クアルコム社が不公平な方式で他の業者が競争に加わることを直接、もしくは間接的に阻んできたことを突き止めたと説明した。
 
クアルコム社の違法な行いは少なくとも7年間続いた他、その間、同社が台湾の業者から徴収した特許料は総額約4,000億台湾元に上るという。また、台湾の業者がクアルコム社から購入したベースバンドチップの金額は約300億米ドル。
 
公平交易委員会によれば、クアルコム社の三大違法行為はまず、競争相手に対するチップに関するライセンス供与を拒否していること。第二に、台湾の携帯電話受託生産会社及び携帯電話メーカーに対し、「ライセンス契約を結ばなければチップは供給しない(no licence, no chips)」という戦略をとったこと。第三に、海外の携帯電話メーカーに対して値引きすることで、クアルコム社以外との取引を認めなかったこと。こうした行動はクアルコム社が他社を排する競争力を強化するばかりでなく、同業者と特定の業者との取引の機会をつぶし、産業の研究開発や技術のイノベーションにとっての障害となる。
 
彭紹瑾副主任委員は競争法の中心が効果主義であることを指摘。これはすなわち企業が一つの国の中で生み出す危害を考慮するもので、今回はクアルコム社の独占状態による中華民国(台湾)に対する損害を考えた。規定によれば、クアルコム社はこの通知を受け取って後、行政訴訟を起こさない限り、15日以内に課徴金を支払わなければならない。彭副主任委員は、韓国がクアルコム社に約278億台湾元(約1,022億日本円)に相当する課徴金、中国大陸も305億台湾元(約1,122億日本円)に相当する課徴金の支払いを命じたことはいずれもクアルコム社の韓国内、中国大陸内に対する影響に基づくもので、決して全世界における同社の売り上げから考慮したものではないと説明している。
 
行政訴訟を起こさない場合、クアルコム社は課徴金を支払わねばならないが、15日以内の納付か分割払いを選択できる。分割払いは最長で5年間60回払い。期限内に納付しない場合、公平交易委員会は法務部(日本の法務省に相当)行政執行署による強制執行が可能となる。
 
公平交易委員会はまた、課徴金の他、クアルコム社に対して三つの行為の停止を要求。三つの行為とはまず、チップの競争相手と結んだ、チップの価格や販売対象、販売数量、製品番号などの販売に関するデリケートな情報提供を求める条項の適用を停止すること。次に携帯電話メーカーと結んだ部品提供契約における、ライセンス契約が無ければチップを提供しないという条項の適用を停止すること。そして、すでに結んだ、排他的な独占取引につながる値引き条項の適用を停止すること。
 
経済部(日本の経産省に相当)の沈栄津部長(大臣)は12日、報道陣に対し、公平交易委員会の決定とクアルコム社の異議申し立てのいずれに対しても尊重する立場を示した。また、今回の課徴金の産業に対する影響について沈経済部長は、問題は法的手続きに則って処理されるとして、各方面が協力して互いの損害を最小限に抑えることで産業にとって利益のある局面を生み出せるよう期待した。
 
クアルコム社は12日に声明を発表、公平交易委員会の決定は受け入れられず、台湾の裁判所に異議を申し立てると宣言した。クアルコム社は、公平交易委員会の制裁金はクアルコム社の台湾における売り上げもしくは活動と合理的な関係が無いとして、課徴金の金額と計算方法について異議を申し立てるとしている。また、携帯電話のチップメーカーであるメディアテック(聯発科技株式会社)が12日に明らかにしたところによると、公平交易委員会のプレスリリースでは課徴金とクアルコム社に対する特定の行為の停止要求の他、クアルコム社は今回の処分に関する通知書類を受け取った翌日から30日以内に、チップの競争相手に対して書面で、これら競争相手が同書面を受け取った翌日から60日以内にクアルコム社に対し、契約の改訂もしくは新たな特許技術ライセンスなど関連契約の要約を提出できることを知らせるよう求めているという。
 

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