貿易振興機構の中華民国対外貿易発展協会(日本での名称は台湾貿易センター、略称はTAITRA)は今月9日から11日まで、マレーシアのクアラルンプールコンベンションセンターにて、台湾製品のブランドイメージ向上を目指すイベント「Taiwan Expo 2017」を開催した。そのハラルパビリオンで注目を集めたのが台湾の承恩食品が出展したタピオカミルクティーのブランド。5年前からハラル認証取得に向けた取り組みを始め、今回初めてマレーシアでの展示会に出展した。
経済部(日本の経済産業省に相当)の統計によると、台湾の飲料店(ドリンクスタンド)で販売される飲料は年間10.2億杯に達する。台湾の総人口で割ると、台湾住民1人当たり年間44杯を消費している計算になる。また、飲料店での消費金額は年間500億台湾元(約1,860億日本円)で、台湾の総人口で割ると、1人当たり少なくとも年間2,000台湾元(約7,440日本円)の飲料を購入していることになる。その市場潜在力は非常に大きい。
中でもタピオカミルクティーと言えば、英ロンドンで配布されているフリーペーパー『ロンドンイブニングスタンダード』がこのほど発表した「台湾に行くべき10の理由」の一つにも挙げた台湾生まれのドリンク。
1983年創業の承恩食品は、タピオカミルクティーなどのドリンクスタンド経営を目指す人に、6か月間で開店を実現させる支援を行う企業。二代目経営者が後を継いでからは、ISOやHACCPなど各種の認証取得を積極的に目指している。ひょんなことから「ハラル認証というすごいものがあるらしい」とのうわさを聞きつけ、台湾北部・台北市にあるイスラム教のモスク「清真寺」に問い合わせた。そして、ハラル認証を得るためには原料、生産過程から商品に至るまで、すべてが認証基準に合致していなければならないことを知ったという。
マレーシア市場を開拓するために、ハラル認証を必ず取得しなければならないというわけではない。しかし、消費者がムスリム(イスラム教徒)であった場合、彼らが商品を受け入れられるかどうかというのは、非常に重要になってくる。統計によると、マレーシア住民の6割以上がイスラム教を信仰するムスリムだという。
「重要なことは同じ味のタピオカミルクティーや、同じブランドの商品を展開していくことではなく、台湾のタピオカミルクティーを世界各地に広めていくことだ」と指摘する承恩公司。同社が経営コンサルを担当したブランドは現在、北はロシアやウクライナ、南はアフリカ、それに東南アジア、中国大陸まで店舗を展開。台湾のパールミルクティーはいま、世界60カ国・地域以上で販売されているという。