2025/06/07

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経済

台湾が国際研究チームに参加、農業廃棄物を高付加価値化学原料に

2018/01/03
台湾では毎年約300万トンの稲わらやもみ殻などの農業廃棄物が出る。台湾内でもこれらの再利用研究が進められている。(行政院農業委員会サイトより)
インドの日刊紙、ファイナンシャルエクスプレスの報道によると、国立台湾大学(台湾北部・台北市)、オーストラリア・ウーロンゴン大学、バングラデシュ・バンガバンドウシェイクムジブルラーマン農業大学とインドらで組織した国際研究グループは、このほど費用対効果の高い化学原料への転換方法の開発に成功した。これは、コウマ(黄麻、別名ジュート)などの非食用バイオマスや農業廃棄物を食品や医薬品などの商業目的に使用できる化学原料に転換することができるもの。
 
ウーロンゴン大学オーストラリア科学技術創成研究院(AIIM)の材料科学家、Shahriar Hossain氏は、2017年12月31日にインド、バングラデシュなどで原産されたサトウキビの搾り殻、稲わら、もみ殻、麦わら、綿茎、トウモロコシの穂軸、コウマなどのバイオマスを、キシロース(xylose)、アラビノース(arabinose)、フルフラール(furfural)、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などの食品や医薬品製造に使用される付加価値の高い化学原料に転換することに成功したと発表した。
 
この研究に主要メンバーとして関わった国立台湾大学化学工学科の呉嘉文教授によると、キシロースとアラビノースは五炭糖に分類される糖の一種で、健康食品にも多く使用されている。それは、糖類でありながら、血糖値の上昇を抑制する働きがあり、これらの糖類が食品中で、ショ糖の摂取に関連する血糖値のコントロールやインスリン吸収などの管理の上で、非常に重要な働きをするからだという。
 
フルフラールについて呉教授は、その用途は多様で、バイオマスから製造された付加価値の高い化学原料の一つだと説明した。フルフラールおよびその誘導体は、殺菌剤、殺虫剤、薬品、バイオプラスチック、うま味調味料などの分野で広く使われている。フルフラールはさらに、バイオ燃料(バイオエタノールやバイオディーゼルなど)製造の上で、潜在的な用途を有することから新たな注目を集めている。
 
今回の開発された方法は、多量の五炭糖やフルフラール生成が可能な上、原料のリサイクルもできるため、低コストで環境に配慮した効率的な優位性のある研究結果だ。
 
この研究成果は、科学誌「Scientific Reports」で既に発表された。この研究で使用されたバイオマス原料は、南アジア、インドなど南アジア諸国で広く入手可能で、安価、再生可能な資源だ。これらの技術はバングラデシュなど南アジア諸国で産業化することができれば、農業廃棄物の価値を大幅に高めることができる。

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