経済部(日本の経済産業省に相当)傘下の国営企業で、台湾の石油元売最大手である台湾中油公司と、台湾に進出する欧州企業で構成する商工会組織「欧州在台商務協会(European Chamber Of Commerce Taiwan 、略称ECCT)」は30日、レポート「下一世代能源:共策台湾能源転型(Energy for the Next Generation-Shaping Taiwan's Energy Transition)」を発表した。レポートでは、台湾のエネルギー構造の現状と今後の青写真について説明しているほか、欧州企業、台湾の国営企業及び関連業者などによる提言も盛り込んでいる。エネルギーの構造転換を実現し、次世代エネルギーの発展のために知恵を寄せ合い、「経済、エネルギー、環境」の三方面に有利な状況を生み出すのが狙い。
台湾中油公司の戴謙董事長(=会長)によると、このレポートは経済部能源局(エネルギー局)が台湾のエネルギー政策についてまとめ、台湾企業が現状の対応について説明しているだけでなく、ECCT Low Carbon Initiative (LCI)の会員企業であるドイツのRWE AGグループ、シーメンス、フィリップスライティングなどが潜在力を持つ新技術について紹介したり、現行の法規制に起因する新たな課題への対応などについて提言を行なったりしている。
国際社会におけるエネルギー産業の構造変化に伴い、台湾のエネルギー政策も構造転換へ向けて動き出している。戴謙董事長は「国営企業として、台湾で必要なオイルガスなどのエネルギーを安定供給するという任務を達成する努力をするだけでなく、低炭素時代を迎えるにあたって、より積極的に転換戦略を進めていきたい」と述べた。また、その範囲として以下の4点を挙げた。
(1)車両用エネルギーの補給多元化に対応するため、台湾におけるEV(電気自動車)の充電及びバッテリー交換市場への参入を進める。また、ガソリンスタンドに太陽光発電システムや蓄電装置を設置し、ガソリンスタンドのグリーンエネルギー化を進め、多元的なエネルギー補給ステーションを目指す。
(2)環境に優しい技術の研究・開発を強化し、「再生可能エネルギー、低炭素技術の高付加価値化、環境保護と省エネルギー」の3大分野でグリーンエネルギーの価値を高め、循環型経済を創出する。
(3)低炭素エネルギーである天然ガスの応用範囲を拡大する。また、国内の地熱エネルギーの開発とその応用を促進する。
(4)石油精製や石化工場は徐々に原料輸入の調整と新たな製造技術の導入を検討し、石油精製の構造調整を強化し、「安全、清潔な国際エネルギー会社」を目指してまい進する。