2025/05/04

Taiwan Today

経済

シナイタチアナグマの狂犬病撲滅へ、ワクチンの国際共同研究で成果

2018/08/03
行政院農業委員会家畜衛生試験所はこのほど、国際獣疫事務局(OIE)の参照試験所であるフランスの研究所との交流で、狂犬病ウイルス感染を防ぐことのできる経口ワクチンの開発で成果を上げたと発表した。(行政院農業委員会家畜衛生試験所提供、中央社)
行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)はこのほど、同委員会家畜衛生試験所と国際獣疫事務局(OIE)参照専門家および参照試験所との交流研究事業において、ウイルス感染を防ぐことのできる経口ワクチン(飼料に添加して投与する)の開発で成果を上げたことを明らかにした。
 
台湾における狂犬病ウイルスの宿主はシナイタチアナグマで、2013年にシナイタチアナグマが狂犬病にり患していることが確認された。翌2014年からはOIEの狂犬病参照試験所であるフランス食品環境労働衛生安全庁のナンシー狂犬病・野生生物試験場と「台湾シナイタチアナグマ狂犬病病原性試験協力覚書」を交わし、狂犬病抗体ウイルス中和試験の技術を確立するなどの任務に取り組んできた。
 
取り組みにおいては、昨年の半ばに「経口ワクチンのシナイタチアナグマにおける安全と効果の評価」とする経口ワクチン実験を終えている。シナイタチアナグマ15匹について経口ワクチンを接種して半年後、天然の狂犬病ウイルスを咬筋に注射したところ、いずれも感染しなかったことが確認され、ウイルスの有効性が示された。
 
経口ウイルスは鶏卵や牛肉、豚肉などの材料を使って開発、テストされた。またシナイタチアナグマと活動領域を共にするハクビシンに対してもこの経口ウイルスの食用安全性を調べた。来年から再来年にかけ画期的な進展が期待される。他の生物学研究者と実地で行う動物の調査や観測と合わせ、将来的には薬物投与でシナイタチアナグマの狂犬病感染を一掃できる可能性もある。
 
計画に協力するフランスの実験室ではこれまで、ワクチン投与から10~20年でタヌキの狂犬病感染を撲滅した実績がある。台湾は面積がやや狭く、シナイタチアナグマの活動範囲は里山にあるため、フランスより短い期間で達成することができるとみられている。
 
行政院農業委員会家畜衛生試験所はこの6月にもフランスのナンシー狂犬病・野生生物試験場と狂犬病協力計画(Twinning Project)に署名し、実験室のソフト面、ハード面の実力を磨き、アジア地域の狂犬病診断能力比較試験の準備を進め、OIE狂犬病参照試験所となるべく歩みを進めたい方針。将来的にはメンバー国での狂犬病診断や人材育成、能力測定などをサポートし、世界のために貢献したい考えだ。

 

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