陳建仁副総統は28日、1998年に台湾で発生したエンテロウイルスA71型のエピデミック(大流行)から20年を迎えることを記念した国際シンポジウム「20th Anniversary of Enterovirus A71 Epidemic of 1998 in Taiwan」に出席した。
陳建仁副総統は英語で行った挨拶で、「1998年、台湾でエンテロウイルスA71型が大流行し、重症患者405人、死者78人を出した。140万人に上る子どもたちが手足口病やヘルパンギーナを発症した。その後、エンテロウイルスA71型は3~4年ごとに大きな流行を繰り返している。しかし、サーベイランス、臨床研究、感染症対策、それに公共政策の改善といった取り組みが功を奏し、台湾ではエンテロウイルスA71型の感染による重症例や死亡例が大幅に減少している」と述べた。
台湾の医学界では1998年のエンテロウイルスA71型の大流行を受けて、治療のガイドラインを制定。現在、その死亡率を2%に引き下げることに成功している。世界保健機関(WHO)も台湾が制定した治療のガイドラインを引用し、ほかの国々の児童の子どもたちの治療に応用しているほど。
台湾では1998年の大流行後、2001年、2002年、2005年、2008年、2012年と、年間100~400人以上の重症患者、2~58人の死者を出すほどの大きな流行を繰り返している。このため財団法人国家衛生研究院(NHRI)は2007年より、エンテロウイルスA71型の予防に有効なワクチンの研究・開発に着手。2010年より第1相(フェーズ1)の人体臨床試験を始めた。人体への安全性と良好な抗体反応が確認されたため、台湾の民間ワクチンメーカーである国光生物科技股份有限公司(ADIMMUNE Corporation)傘下の安特羅科技(Enimmune Corp)と、基亜生技(Medigen Biotechnology Corp)傘下の高端疫苗生物製剤公司(Medigen Vaccine Biologics)に技術移転し、開発を進めることにした。両社は現在、台湾及びベトナムで臨床試験を行っており、早ければ2~3年後に実用化できる見通し。
国光生物科技股份有限公司の広報担当者である潘飛さんによると、安特羅科技が開発に取り組むエンテロウイルスA71型のワクチンは、すでに第3相試験の段階に入っており、早ければ2019年末、あるいは2020年はじめには臨床試験が終了し、順調に進めば承認申請と実用化準備に取りかかる。ベトナムの衛生当局からも、ベトナムでの第3相試験の実施が承認されている。
このほか、高端疫苗生物製剤公司も台湾で、今年第4四半期から第3相の臨床試験を開始する。その有効性を確認するため、少なくとも1年の歳月を費やす必要がある。ベトナムでも、同国の衛生当局に対してワクチンの第3相試験実施に関する申請書と計画書を出すことになっており、台湾とベトナムの両方合わせて約3,000人以上を対象とした治験を行う予定。こちらも臨床試験が終了してから、承認申請と実用化の準備に取り掛かる。
(総統府、自由時報)