私立長庚大学(台湾北部・桃園市)の頼信志教授を代表とする研究チームはこのほど、科技部(科学技術を担当する中央省庁)の助成を受けて行なった動物実験の結果、腸内細菌Parabacteroides goldsteinii(中国語では戈氏副擬桿菌)が肥満やメタボリックシンドローム(代謝異常症候群)の改善効果を持ち、腸内の健康を促進する次世代のプロバイオティクス(善玉菌)になる可能性があることを証明した。
頼信志教授を代表とする研究チームは、もともと霊芝や冬虫夏草といった漢方(東洋医学)における生薬を研究テーマとしていた。その過程で、この二つの生薬が持つ高分子多糖体が動物の痩身、あるいは肝炎及び糖尿病の初期症状に対して顕著な効果を持つことを発見した。
さらに、便微生物移植(FMT)や各種抗生物質の処理に関する研究を進めた結果、こうした効果はいずれも霊芝や冬虫夏草が持つ高分子多糖体の誘導によって増殖した腸内細菌Parabacteroides goldsteiniiと密接な関係があることが初めて分かった。しかも、動物実験の結果、この腸内細菌は単独で使用しても、肥満やメタボリックシンドロームの改善に顕著な効果を生み出すことが判明した。
Parabacteroides goldsteiniiを使ったこの動物実験の結果は、この腸内細菌が肥満やメタボリックシンドロームの改善機能を持ち、腸内の健康を促進する次世代のプロバイオティクスになる可能性を持つことを示している。
漢方における生薬は、アジア各地及びユーラシア大陸に生息するもので、数千年前から病気の予防や治療などに使われてきた。痩身効果を持つとされる生薬の使用例も数多い。しかしながら、生薬と腸内細菌叢に関する研究は世界でもまだ珍しく、その重要性と必要性が高まっている。
科技部は今後もさまざまな方面で協力を提供し、臨床効果を持つ関連の菌群を開発していきたい考え。また、その他の腸内細菌叢との関連性についても研究を進め、次世代のプロバイオティクスをより多く開発し、人体実験及び研究を通してその免疫調節機能についての理解を深めたいとしている。さらに、引き続きより効率的なバイオ情報分析のプラットフォームを構築し、分析の効率を強化し、痩身効果のある低分子化合物をより多く開発していきたい考え。