台湾北部で初めてのライトレールとなる淡海ライトレール(LRT)緑山線が完成し、交通部(日本の国土交通省に相当)の検査・承認を経て、23日に開通式典を実施することが決まった。実際の供用は24日からとなる。
■全線7.3㎞に高架駅7つ、地上駅4つ
緑山線は全長7.3キロメートル。紅樹林、竿蓁林、淡水鄧公、淡江大学、淡金北新、新市一路、淡水行政中心の7つの高架駅と、浜海義山、浜海沙崙、淡海新市鎮、崁頂の4つの地上駅から成る。全線11駅すべてに、絵本作家の幾米(ジミー)さんが淡海レールのために特別に制作したパブリックアートが設置されている。駅に設置された路線図や改札機などにも幾米さんのアートが採用されている。高架区間は視野が開けており、乗降車する際には淡水河や観音山の美しい景色を一望することができる。台北メトロなどと異なり、乗客は車両が停車するのを待ってドア開閉ボタンを押して乗降する。これは二酸化炭素排出削減の効果がある。
■初の国産車両
淡海ライトレールに投入される車両は、台湾北部・新竹県湖口郷にある台湾車輌股份有限公司が設計、製造、試験のすべてを台湾で完成させた台湾初の国産車両。ドイツの第三者認証機関による認証も取得した会社で、車両設計及びシステムインテグレーション能力を完全に備えている。その前身は国営事業の唐栄鉄工廠の車両事業部で、2002年に民営化した。近年は独フォイト・エンジニアリング・サービス(Voith Engineering Service)社との技術提携を進めている。淡海ライトレールを運行する新北捷運公司は、「国営事業が培ってきた製造能力と海外のデザイン能力の融合が、台湾に新たな産業を生み出すのに重要な役割を果たした。台湾に国産軌道車輌工業及び関連部品のサプライチェーンを構築し、経済発展を促進するだろう」と期待を寄せている。2025年までにライトレールの部品の国産率を50%以上に引き上げることを目指している。
■運賃体系は台北メトロと同じ、来年6月からはモバイル決済も
淡海ライトレールの初乗運賃は、台北メトロと同じで20台湾元(約72日本円)。緑山線では、片道の最大運賃は25台湾元(約90日本円)となる。台北メトロと同様、交通系ICカードの利用で20%引きとなる。路線バスあるいは台北メトロへの乗り継ぎ、あるいはその逆で、運賃の割引サービスを受けることができる。また、台北市及び新北市を走るMRTと路線バスが1,280台湾元(約4,700円)で全て乗り放題となる30日間フリー(乗り放題)定期券も使うことができる。2019年6月からは、Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、Samsung Pay(サムスンペイ)、iPASS x LINE Pay、Ali Pay(アリペイ)、Union Pay(ユニオンペイ)、Garmin Pay(ガーミンペイ)、Fitbit Pay(フィットビット・ペイ)、それにHami Payの9つのモバイル決済を導入する。モバイル決済が導入されれば、乗客はスマホやウェアラブルデバイスなどをタッチしたり、QRコードをスキャンしたりするだけで運賃を支払うことができる。
■YouBikeは一部の駅でサービス開始
淡海ライトレールと接続する台北メトロ(MRT)紅線の紅樹林駅、それに淡海ライトレールの淡金北新駅、淡水行政中心駅、浜海義山駅ではすでに、台湾北部を中心に普及が進む公共自転車シェアリングサービス「微笑単車(YouBikeあるいはU-bike)」のレンタルステーションが設置され、すでにサービスの提供を開始している。浜海沙崙駅、淡海新市鎮駅、崁頂駅ではきょう(21日)零時からサービスの提供を開始した。新市一路駅、淡江大学駅などでも近く、サービスの提供を始める予定。路線バスとのアクセスについては、新北市交通局が路線バス「紅23」及び「880」のルートに浜海沙崙駅を加え、淡海ライトレールから漁人碼頭(フィッシャーマンズワーフ)や淡水老街(=旧市街)などの観光スポットにアクセスする乗客の便宜を図る。
■開通式典は23日午後5時より
新北捷運公司は、淡水の観光名物である夕焼けと、パブリックアートを使ったライトアップなどを楽しんでもらうため、23日午後5時から6時30分まで淡水行政中心駅で淡海ライトレールの開通式典を開催する。一般市民の利用は24日から開始。運行時間は毎日午前6時30分から午後10時までで、15分ごとの運行となる。台湾では新たに開通する公共交通システムは一定期間、運賃が無料となるのが慣例となっている。淡海ライトレールの無料運賃期間については、23日の開通式典で新北市の朱立倫市長が正式に発表する。