2025/06/07

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経済

国家衛生研究院、蚊の「顔」でデング熱を媒介する蚊を判別するシステム開発

2019/01/07
国家衛生研究院が蚊媒介感染症に関する最新の研究成果を発表。様々な蚊の中から、デング熱やジカ熱を媒介する蚊を判別するシステムを開発した。写真は機器の一部。(中央社)
国家衛生研究院(NHRI)が4日に記者会見を開き、蚊媒介感染症に関する最新の研究成果を発表した。研究に参加した、国家衛生研究院「生医工程与奈米医学研究所(バイオメディカルエンジニアリング&ナノメディシン研究所=The Institute of Biomedical Engineering and Nanomedicine)」の廖倫徳助研究員(Assistant Research Fellow)によれば、近年、感染症対策の大きな課題となっているデング熱やジカ熱のウイルスはネッタイシマカやヒトスジシマカなどヤブカ属の蚊が主に媒介している。しかし、従来の蚊取り器の大半は蚊を殺すことを主な目的としており、蚊の種類を判別することが出来ない他、捕まえた蚊はすでに死んでおり、体内にウイルスを持っているかどうかを調べられなかった。
 
研究グループは1年半の研究を経て、マイクロスコピー並びにナノスコピーのセンサー技術と人工知能を組み合わせ、様々な蚊の飛び方や着地の仕方を分類することで、蚊の「顔」を識別できる技術を備えた「智慧型多膜態捕蚊機」を開発した。この計器は蚊が入り口に入ると、0.07秒の間に1万800枚の写真を撮影し、その蚊が有害か無害かを判断してそれぞれの場所に振り分ける。判別の精度は90%以上と極めて優れているにもかかわらず、1台のコストは2,000台湾元から4,000台湾元(約6,900日本円から約1万3,900日本円)と高くない。
 
従来の蚊取り器は粘着シートを使ったものが主で、捕まえた蚊は大部分が死んでいる他、ゴキブリや他の昆虫が貼りついていることもある。しかし、今回開発された蚊取り器は蚊だけを引き付けるため選別の手間がかからない。また、捕まえた蚊は生きており、体内の血液からその蚊がそれまでに何を刺したか、ウイルスを持っているかなどが分析できる。捕まえた蚊の判別結果をただちにフィードバックし、地理情報のシステムと重ねあわせればデング熱の高リスク地区をあらかじめ予測することも可能であり、感染対策の初動を早め、感染の拡大を防ぐために力を発揮することが期待できるという。
 
 

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