仏パリで隔年ごとに行われる世界最大規模の航空ショー「パリ航空ショー(SIAE)」は今年第53回目を迎え、17日から23日までパリ郊外のル・ブールジェ(Le Bourget)空港で開催された。今年は、48か国・地域から2,381の組織が参加、140機の航空機が展示され、45機がデモンストレーション飛行を行った。なお、前回の2017年のショーには延べ32万人が訪れた。
パリ航空ショーの台湾パビリオンでは、台湾における兵器開発の拠点、国家中山科学研究院(中科院)、軍用機の開発・製造のほか民間機の製造やエンジン整備なども手がける漢翔航空工業(AIDC)、航空宇宙部品の製造を主な業務とする敏鈞精密、航空機及び関連部品の製造・修理を請け負う豊達科技(NAFCO)らが出展した。
中科院は今年、兵器システム、無人機運航管理システムやタービンエンジンなどの研究成果を紹介した。
台湾北部・台北市の松山空港と英ロンドンのガトウィック空港ではここ半年、ドローン(小型無人機)の無許可侵入が、飛行機の発着に影響した事態が発生した。そのため、無人機運航管理システムは、このようなトラブルを防ぐにも、また人が多く集まる大きなイベントなどでも活用できることが期待されている。
中科院の研究員は無人機運航管理システムについて、「この製品には、高レベルの防衛システムが搭載されている。RFIDを活用して、8キロメートル先までドローンの侵入を識別でき、5キロメートルでレーダーによってドローンの位置を確認、2キロメートルで昼夜問わず光電観測システムが使用でき、スペクトラムアナライザという電気計測器によって、操縦者の情報を得ることができる。さらに、その侵入を阻止できるだけでなく、網を載せた大型無人機を飛行させ、空中で捕獲することもできるという性能を持ち、他の防衛システムより優れた製品だ」と強調した。
一方、漢翔航空工業は、ターボエンジンの重要部分、コアエンジンの部品の生産能力について紹介した。漢翔航空工業は国際市場において、ソフト・ハード面の両方で実力を発揮している。また、高精度の加工技術を持ち、超硬合金素材の加工能力もある。そのため、海外の主要なエンジン関連の業務を行う企業から、重要な部品の製造を委託されている。さらに、漢翔航空工業の業務は多岐にわたっており、単に顧客の指示通りの製品を製造するだけでなく、設計にも携わり、改善点を提案し、コスト削減にも一役買っている。
漢翔航空工業が発表したところによると、パリ航空ショーで同社は、ドイツ、フランスの企業と2,000万ユーロ(約24億日本円)の部品調達の契約を交わしたという。