台湾産のワインが国際的なワインコンクールである「ヴィナリ国際ワインコンクール(Vinalies Internationales)」で金賞を2つ受賞した。2月29日から3月4日までフランスのパリで開催された第26回「ヴィナリ国際ワインコンクール」は世界で最も権威あるワインコンクール。今回は国立高雄餐旅大学(台湾南部・高雄市)の陳千浩助理教授(講師に相当)が手がけた「紅、白埔桃酒」(赤・白ワイン)が、世界45カ国から集まった2,959種のワインのサンプルの中から見事、赤ワインと白ワインの2部門で金賞認定を受ける快挙を成し遂げた。
このコンクールはフランス醸造技術者協会(ユニオン・デ・ エノローグ・ド・フランス)とO.I.V.(国際ぶどう・ぶどう酒機構)が1993年に創設。今年は世界35カ国の醸造専門家126人が審査員を務めた。
O.I.V.(国際ぶどう・ぶどう酒機構)によるコンクールの規定では、コンクールに参加したワインのうち賞の認定を受けるのは30%に限られ、特に金賞と銀賞の数は厳格に管理されている。
陳千浩さんは、「世界45カ国が参加したコンクールで赤ワインと白ワインの金賞を得られたことは、台湾の農作物でも適切な醸造方式を用いれば世界レベルのワインを作り出すことが可能であることの証拠だ」と喜び、さらに、「台湾ではかつて80年近く、専売制によって民間の参入を制限してきたことで酒の醸造業が発展しなかった。近年は民間が様々な努力をしているが、それは失われてしまった『台湾酒』の文化を再び根付かせようとするものであり、すなわち台湾の『酒ルネサンス』なのだ」と強調した。
陳千浩さんはフランスのブルゴーニュ大学醸造学科を卒業、2005年より行政院農業委員会(日本の農水省に相当)農糧署の補助と指導を受けながら醸造設備を改善、醸造実験を重ねてきた。陳さんはまず、ブランデーを加える方式で醸造し、オーク樽に詰めて熟成させた。台湾の暖かい気候は樽の中の酒を自然に揮発させ、5年経つと樽の中は半分の100リットルほどになった。こうした熟成方式は台湾の自然な風土による天然の揮発と濃縮の効果を生み、より芳醇な味わいと、蜂蜜や「蜜餞」(果物の砂糖漬け)そして熱帯フルーツの複雑な香りを実現した。口あたりは甘さと酸味がほどよくライトでさわやか。しかも飲んだ後で甘さが戻ってくるという。
原料を提供したワイナリー「樹生酒荘」の主人、洪吉倍さんはブドウの栽培で半世紀以上の経験を持つ。2001年に民間の醸造業が解禁されて以降、農糧署と台湾中部・台中市の農業局の指導を得て「精緻農業」(高品質で高級な農業)への変革に成功した。「樹生酒荘」と陳千浩さんは新たなワイナリー設立を計画中で、台湾米、サツマイモ、果実など台湾で採れる地元の農産物をより多く使って、さらに多様な「台湾酒」を生み出す構想。それにより台湾の味わいに満ちたおいしい酒とその香りを全世界に広めたいとしている。