2025/05/29

Taiwan Today

経済

水産試験所改良の観賞用エビ、新色のフリソデエビの世界進出に期待

2020/04/22
行政院農業委員会水産試験所が新たな色のフリソデエビ「蝴蝶藍」(写真。左がコバルトブルー、右が紫がかった藍色のもの)を生み出した。観賞用の水生生物のうちフリソデエビは有望で、海外への販売と環境保護への寄与が期待されている。(行政院農業委員会サイトより)

国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、世界の観賞用水生生物の生産高は約150億米ドルから200億米ドルに達し、大きなビジネスチャンスとなっている。台湾における観賞用水生生物の市場はペット市場の規模として犬、猫に次ぐ3番目の位置ながら、その観賞用エビは毎年2億台湾元(約7億700万日本円)を超える生産高を誇る。

行政院農業委員会(日本の農水省に相当)水産試験所は17日、観賞用水生生物の市場はこのところ高級化、生態化、小型化へと向かっており、繊細でかわいい観賞用のエビ(海水魚のエビ)はその鮮やかな色と特殊な形で人気を集めていると指摘した。これらのエビは有機性のくずや藻類(コケ)、寄生虫などを食べて除去する機能も備えていることから、小型水槽での「主役」としてその需要が日増しに拡大しているという。

フリソデエビは食性が特殊で食べ物は主にヒトデ。このため自然界ではヒトデの天敵である。体は蝋を塗ったかのように明るく輝き、白地にまだらの模様がある。腕が葉状に大きく成長しているのが特徴で、動かさないと花が開いているように見える。一方で大きな腕を振り回すとリング上のボクサーのようで面白く、動いているときも止まっているときも魅力的であることから、フリソデエビは最も「癒し」効果を持つ不思議な生き物とされている。しかしそうした魅力は乱獲を招き、自然界では個体数が日ごとに減るなど、生態系のバランスに影響が及んでいる。

フリソデエビの体表にあるまだら模様の色は生息地によって大きく異なる。中部太平洋から東部太平洋にかけてのもののまだらは紫色で黄色の縁がある。一方、インド洋や西部太平洋のものは茶色が青で縁取られる。水産試験所では量産と交配によって、紫がかった藍色のまだらを持つ種を育成。さらにはコバルトブルーのまだらを持つ品種まで生み出した。この鮮やかな色はそのフリソデエビをまるで海中で咲く美しいランの花のように見せることから、研究者たちはこれらを「蝴蝶藍」(コチョウランのランが「蘭」ではなく青色を示す「藍」)と命名した。

水産試験所では、この「蝴蝶藍」に既存の紫色と茶色のまだらを持つ系統のフリソデエビも加えることで、水生生物をペットとする人たちにより多様な選択肢を提供している。フリソデエビは台湾の観賞用水生生物の市場における「新鋭部隊」となっており、観賞用水生生物市場の活性化と野生生物の保護につながることが期待されている。

ランキング

新着