新型コロナウイルスによる影響をものともせず、台湾の5大電信会社がネットワークの整備と運営開始への準備に積極的に取り組んできた結果、台湾は7月に第5世代(5G)移動通信システムの時代に突入する。4Gの時代に様々な記録を打ち立てた台湾では5Gサービスにおいても韓国や中国大陸を上回る、初年度の普及率10%以上を目指している。
今年2月下旬、台湾として第一弾の5G周波数帯の入札が行われ、落札金額は合計1,421億9,100万台湾元(約5,071億日本円)に達した。5大電信会社がいずれも有利な周波数帯を獲得しようとしたことで落札総額は世界で3番目に高い記録に。しかし各電信会社に代償の大きさを嘆いている暇はなく、いずれもただちにサービス開始への準備に着手している。
最大手である中華電信(Chunghwa Telecom)の謝継茂董事長(会長)は、5Gサービスで台湾初の営業許可も手にしているとして、7月1日のサービス開始を目指す姿勢を鮮明にしている。一方、遠伝電信(FarEasTone)、台湾大哥大(台湾モバイル)、台湾之星(Taiwan Star Telecom)、亜太電信(Asia Pacific Telecom)も今年第3四半期にはサービスを始めるとしており、台湾はまもなく5Gサービスの時代に突入することとなる。
5Gサービスの初年度普及率も各業者による積極的なプロモーションにより、イギリスや米国を上回り、中国大陸や韓国と同じかそれ以上が見込まれる。台湾における移動通信サービスのシェアが36%で業界トップの中華電信は保守的な予想としながらも、初年度の5Gユーザーを100万人以上と見積もっている。同社の有するユーザー総数1,049万8,000人を基礎にすれば普及率は10%近くとなる。
2015年を振り返ると、4Gサービスが始まって1年近くで4Gのユーザー数は518万人、普及率は17.7%に達した。5大電信会社が激しいセールス合戦を展開する中、4Gの使用量を制限しない定額プラン(4G使い放題プラン)、4Gネットワークを世界最速で整備したこと、ならびに4Gユーザー普及率の成長が世界で最も速いことなど、4Gに関する様々な世界記録を打ち立てた。
中華電信の林国豊副総経理(副社長)は、同社が4Gサービスを始めた最初の年のユーザー数133万人から見て、5Gアプリが積極的に宣伝される中、5Gユーザーの成長曲線は4Gサービスと似たものになると予想。また、5Gサービスが爆発的に普及するのは2021年の下半期で、その時には4Gの携帯電話が入手困難となり、ユーザーは自然と5Gへ乗り換えることになると述べた。
5Gの周波数帯の落札金総額は当初、440億台湾元(約1,569億日本円)を見込んでいたが、実際にはそれを1,000億台湾元(約3,566億日本円)近く上回った。国家通訊伝播委員会(NCC)はこの1,000億台湾元近くのうち約400億台湾元(約1,426億日本円)を5Gサービスのインフラ整備に回し、200億台湾元(約713億日本円)は都市と地方の格差縮小、ならびに公共サービスの普及に充てる。NCCはこれによって業者の負担を軽減すると共に、5Gへの乗り換え意欲を高められる料金体系を各業者が打ち出すのを後押しすることにしている。