プリント基板は「電子製品の母」であり、リジッド基板、フレキシブル基板(FPC)、そしてICサブストレート基板といった主要製品は携帯電話、コンピュータ、サーバー、テレビ、通信ネットワーク設備などの重要な部品である。なお統計によれば、台湾におけるプリント基板製造会社は社員200人以下の中小企業が中心で、主に台湾北部の桃園市と新北市に集中している。
●今年1~9月のプリント基板製造業の生産額は前年比7.9%増
台湾におけるプリント基板製造業は近年、スマートフォンなどモバイルデバイスの新製品発売やスマート技術の応用分野拡大の恩恵を受けて回復基調となっている。2017年には生産額が前年比でプラス転換、2019年にはそれまで12年で最高の2,916億台湾元(約1兆590億日本円)に達するなど3年連続で成長した。そして今年はサーバーやネットワーク設備のメーカーによる台湾へのUターン投資と生産ライン拡充が続いているほか、新型コロナウイルスの影響によるリモート関連製品の力強い広がり、さらに電信会社による5G(第五世代移動通信技術)向けインフラ整備が加速していることもあり、プリント基板製造業への需要はより一層拡大している。このため今年1月から9月までの生産額は前年同期比7.9%増の2,273億台湾元(約8,260億日本円)に達しており、年間では3,000億台湾元(約1兆900億日本円)を上回り、世界金融危機以前の水準に戻れるものと期待される。
●今年の成長には主にICサブストレート基板が貢献
リジッド基板とフレキシブル基板(FPC)の今年1月から9月までの生産額は前年同期比2.4%増の1,091億台湾元(約3,960億日本円)。プリント基板製造業全体の48.0%を占める。一方、ICサブストレート基板の生産額はハイエンドチップならびに高速メモリーの需要拡大を受け、プリント基板製造業全体の31.3%に相当する711億台湾元(約2,580億日本円)に増えた。成長率25.6%は各製品のうち最大で、産業全体の成長に最も貢献した。この二つの製品(リジッド基板とフレキシブル基板、ICサブストレート基板)でプリント基板製造業全体の約8割を占めた。
一方販売面をみると、台湾のプリント基板製造業では多くが海外への輸出を主としている。リジッド基板とフレキシブル基板(FPC)の直接輸出比率は82.4%。ICサブストレート基板は49.2%が輸出だった。
2019年の年間輸出額は米中貿易戦争の影響で、前年比5.5%減の52億8,000万米ドルだったが、今年1月から10月までの輸出額は前年同期比で5.7%増の45億8,000万米ドルまで回復している。主な輸出先は中国大陸が43.9%でトップながら輸出額は前年同期比では0.8%減少。次いで香港が12.8%、輸出額は5.2%増えた。韓国は一部業者がプリント基板の製造を止めたため、台湾のフレキシブル基板とリジッド基板(多層基板)への需要が高まり、輸出額は前年比37.7%の大幅増に。輸出全体では9.7%を占め、米国を抜いて台湾のプリント基板製造業にとって世界で3番目に大きな輸出先となった。米国向け輸出は前年比で9.6%減った。