科技部(日本の省レベル)に属する財団法人国家実験研究院(国研院)と国立成功大学(台湾南部・台南市)が共同で設立した「国研院台湾半導体研究中心台南基地」(半導体研究センター台南基地)が17日、運営を開始した。国家実験研究院の呉光鐘院長、国立成功大学の蘇慧貞校長(学長)、台南市の王揚智副秘書長、日月光(ASE)グループの洪志斌副総経理(副社長)ら産官学、そして研究者らの代表が運営開始のセレモニーに出席した。
国立成功大学の蘇校長はあいさつの中で、「国研院台湾半導体研究中心台南基地」は、サイエンスパークなどで知られる新竹市(台湾北部)以南で最も研究開発力の集中する研究基地になることを強調。ここでは各大学の大学院生(修士・博士)を訓練して学術界及び産業界に必要なハイエンドエンジニアを養成するほか、台湾における半導体センサ部品の研究レベルを引き上げ、台湾が持つ低炭素のグリーンエネルギーに関する革新的な技術と医療用バイオチップの競争力維持を図ると説明した。
国家実験研究院の呉光鐘院長によれば、同研究院の存在価値は基礎研究への支援と、学術界、研究者、産業界を結び付ける「連結器」としての役割。呉院長は、「国研院台湾半導体研究中心台南基地」はアクセス面で便利だという「地の利」と、同じ敷地内の国立成功大学が各種トップレベルの人材を育成しているという「人の和」、そしてさらに台湾積体電路製造(TMSC)が世界初となる3ナノメータープロセスの新たな半導体製造工場を南部サイエンスパークで間もなく稼働させるというタイミングの三つの有利な条件下で運営を開始することになり、これから間違いなくより多くの価値を生み出すだろうと期待した。
「国研院台湾半導体研究中心台南基地」は国立成功大学力行校区(力行キャンパス)内に設置されている。2018年9月27日に着工し、シルバーレベルのグリーンビルディング候補となった。本館の「半導体研究大楼」内部には業界とリンクする200坪の半導体クリーンルーム(無塵室)がある。これは米国連邦規格のクラス10及びISO14644規格のクラス4という高水準のクリーンルーム。またバイオフォトニクスの計測のための中心的設備にも35坪の実験室が設けられている。
今後国家実験研究院は国立成功大学とそれぞれの強みを一つにして国家資源を統合、サービスプラットフォームを整え、台湾南部における将来性ある技術開発に向けて重点となる技術を提供していくことにしている。具体的には、「ヘテロジニアス・インテグレーション(異種統合)のパッケージング」、「CMOSの高圧センサチップ」、「MEMSセンサ」、「先進的な医療用センサチップ」、「無線センサチップのシステムインテグレーション」などの技術。そして新竹市にある「国家実験研究院台湾半導体研究中心」本部と足並みをそろえ、南北分業体制でIoT(モノ)のインターネット、バイオ医療、センサなど将来性ある産業で必要とされるであろう半導体の製造プロセスならびに応用に向けた研究サービスを行っていくということ。