国際獣疫事務局(OIE)は昨年、台湾本島、離島の澎湖及び馬祖を口蹄疫の「ワクチン非接種清浄地域」に認定した。これにより、1997年の口蹄疫発生以来、23年ぶりに台湾産生鮮豚肉の輸出が可能となった。行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)国際処の統計によると、昨年1月から11月までの台湾産豚肉製品の累計輸出量は2,541トン、輸出高にして1,805万5,000米ドルに達した。内訳は調製豚肉、冷凍豚肉、生鮮冷蔵豚肉、生きた豚など。昨年の輸出相手のトップは香港、マカオ、そして日本だった。中でも冷凍・冷蔵豚肉の輸出先はマカオがトップで、輸出量307トン、輸出高94万米ドルに達した。農業委員会の黄金城副主任委員(=副大臣に相当)によると、今年はフィリピンへの輸出も可能になる見通しだ。
黄金城副主任委員によると、国際獣疫事務局(OIE)によって口蹄疫の「ワクチン非接種清浄地域」に認定され、台湾産豚肉の基準はフィリピンの規定に合致することになった。フィリピンは、台湾に職員を派遣して食肉加工施設の視察を行う必要性も低いため、コロナ禍の影響を受けることも少ない。また、フィリピンでは現在、アフリカ豚コレラのまん延により豚肉不足が発生している。このため台湾にとっては、フィリピンの豚肉市場に参入する絶好の機会だと言える。
台湾産豚肉の輸出を巡ってはフィリピンのほか、シンガポールとも現在交渉中だ。しかし、シンガポールの場合は、台湾の食肉加工施設への視察団派遣が実現できずにいることから、輸出再開の目途が立っていない。今年の新型コロナウイルスの感染状況によるところが大きく、職員を無事台湾に派遣することができさえすれば、輸出再開が実現する見通しだ。
黄金城副主任委員によると、このほかベトナムについても台湾産生鮮豚肉の輸出先の候補に挙がっている。但し、ベトナムに輸出される豚肉は比較的安価で利潤が低いためメリットは小さい。とは言うものの、ベトナムへの輸出が成功すれば、それは台湾産豚肉の輸出成功例として重大な意義を持つことになる。